女性によく使われる漢方3処方

寒暖差が激しく体調は崩されていませんか?

今回は女性によく使われる漢方3処方について紹介します。最近はCMなどでもよく目に入ることが多いのではないでしょうか?漢方薬とは気づかないような名前だったりもしますよね。大抵はこの三大処方が基本処方になっていますので、その使い分けについて簡単にお話します。

まずこの婦人科三大処方というのは、医療用漢方製剤(薬局やクリニックなどで処方箋にもとづいて出される漢方薬のこと)ではどのメーカーさんでもその漢方薬についている番号が連番になっているので、とても覚えやすいです。

23番は当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)、24番は加味逍遙散 (かみしょうようさん)、25番は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)となっています。

①当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)について

      生薬       働き
芍薬、当帰、川芎(せんきゅう) 月経に伴うホルモンバランスの乱れによる諸症状を改善する。
蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ) むくみなどの水分バランスの異常を整える。

当帰芍薬散は『血虚』や『水毒』を改善する漢方薬です。血虚というのは、わかりやすく言うと貧血状態のことで、めまいや冷え、皮膚が乾燥しやすかったりといった徴候を指します。女性は月経があるので比較的血虚になりやすいです。

水毒というのは、むくみや頭痛、吐き気などの徴候があります。イメージするなら、二日酔いによって起こる症状です。

ですので当帰芍薬散は浮腫と貧血を起こしやすく、冷えを訴える方によい漢方薬です。

②加味逍遙散 (かみしょうようさん)について

       生薬      働き
柴胡(さいこ)、芍薬、薄荷(はっか)、   山梔子 (さんしし)、茯苓(ぶくりょう) 精神を安定させ、更年期障害に伴う諸症状を改善する。
当帰、芍薬、牡丹皮(ぼたんぴ) 下腹部の血流をよくする。
甘草(かんぞう)、蒼朮、茯苓、生姜 お腹の調子を整える、また、浮腫を改善できる。

加味逍遙散はホルモンバランスの乱れによって起こる精神不安までカバーできる漢方薬です。PMSや更年期障害でイライラするなどの精神症状が現れた場合にも対応します。また、肩がこる、頭が痛い、眠れない…など多愁訴(たしゅうそ)を訴えられる方に良い処方です。

③桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)について

  生薬         働き
桃仁(とうにん)、  
牡丹皮
血のめぐりをよくし、女性ホルモンのバランスを正常にする。
桂皮(けいひ)、茯苓 ホットフラッシュなどの冷えのぼせの症状を改善する。
芍薬 月経痛などの痛みを緩和する

桂枝茯苓丸は『お血(おけつ)』という病態を改善する漢方薬です。お血というのは、月経の際、血の塊が出たり、アザが出来やすかったりなどの徴候があります。月経不順もお血の徴候の一つです。桂枝茯苓丸はそのような血の滞りを改善したい方に良い処方です。

いかがでしたか?皆さんも漢方薬を選ばれるときは自分に合った処方を選べるように参考にしてみて下さいね。

皮膚のかゆみ

皆様、新年明けましておめでとうございます。良いお正月を過ごされましたでしょうか?

新年早々に能登半島地震が起き、大変な被害が出ております。一日も早い復興を祈願しております。

今回は冬の季節に特に多くなる、『かゆみ』をテーマに、紹介していきます。

冬の乾いた外気と、皮脂の欠乏、発汗の低下などが合わさって起こる皮膚の病気を『皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)』といいます。皮脂の分泌が低下する高齢者や妊娠中の女性に多くみられ、その名の通り強いかゆみが生じます。外部から皮膚を守っている角層のバリア機能が乾燥によって失われる為、知覚神経が刺激を受けやすくなり、かゆみを生じるのです。

一般的な治療では、皮膚の乾燥を防ぐために保湿剤のクリームやローションを塗ります。また、かゆみがひどい場合にはステロイド剤、かゆみ止めを用いることもありますが、十分な効果が得られない時もあります。

すぐに出来る対策としては、室内環境を整えることです。暖房などを使う際には、加湿をし、室内の湿度を一定に保つよう心掛けて下さい。

しかし、かゆみは痛みと違って、掻くという行為で解消できる症状です。しかし我慢できずに掻き続けてしまうと、それがまたかゆみを強め、悪循環になってしまいます。強いかゆみはやがて大きなストレスとなり、睡眠障害やイライラを引き起こすこともあります。

そんな辛いかゆみに対して、通常治療の効果を高められるような漢方薬を紹介します。

当帰飲子(とうきいんし)・・・・・・皮膚に潤いがなく乾燥して、かゆみがある慢性の皮膚疾患に処方されます。元来、かゆみ・腫れ・かさぶた等の症状を伴う皮膚炎に使用されていました。14世紀以降は、乾燥性の皮膚炎に良いとされ、特に虚証タイプ(高齢者などの虚弱な方)向けに使われてきました。この漢方薬には血流を良くし、皮膚のバリア機能の回復をはかる『四物湯(しもつとう)』という漢方薬をベースに、皮膚を強くしたり、かゆみ・痛み止めの役割を果たす生薬が加わっています。皮膚のターンオーバーが出来ない状態に、外用剤の機能を高める役目をします。

また、精神不安・不眠症などのメンタル的な要素が加わった場合には加味帰脾湯(かみきひとう)という漢方薬もおすすめします。こちらには、精神を安定化させる生薬も含まれています。

かゆみが我慢できない、背中などがかゆくても手が届かないなどといった悩みがある方は是非相談して下さいね。

(高麗)人参のはたらき、効果について

最近は健康に気を遣い健康ドリンクなどを自主的に購入される方が増えてきたように思います。TVのCMの影響もあるのでしょう!!

患者さんの中に『高麗人参 (こうらいにんじん)』のドリンク剤を飲まれている方がいらっしゃいましたので、今回は生薬の『人参(にんじん)』の話をしたいと思います。

★人参と高麗人参は別モノ!

高麗人参という名前から、野菜の人参と同じものだと認識されている人も多いのではないでしょうか?皆さんとなじみの深い人参はセリ科、高麗人参はウコギ科の植物なので全くの別物です。人参と高麗人参では含有成分が異なります。人参の主な成分はカロチン、ビタミンA、カリウム、食物繊維であり、高麗人参はサポニン、ビタミン、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、ミネラルです。そして高麗人参には人参以上に栄養価が高いものですから高級品として扱われています。

★高麗人参には別名がたくさん

高麗人参は朝鮮人参(ちょうせんにんじん)、雲州人参 (うんしゅうにんじん)、紅参 (こうじん)などとも呼ばれていますが、日本薬局方には「御種人参(おたねにんじん)」として記載されているのでこちらが正式名称となります。八代将軍・吉宗は朝鮮半島から入手した人参の種と苗を栽培した後、その種を各地大名に分け与えたことから“ありがたい・種”→『御種』と名がついたそうです。

★高麗人参のもつ効果

このような生薬の人参には次のような作用効果があります。

1.補気(ほき)作用: 「気」を産生する胃腸系を強め、身体全体の強壮をはかります。例えば、下痢を止める、消化を促進、体力をつける、呼吸機能を高める、など。

2. 生津(せいしん)作用:熱などによって減少した体の体液(津液)を補い、口渇を止めます。

人参を含む漢方薬

人参の滋養強壮作用を目的としている漢方薬にはほとんどの場合、『黄耆』という生薬もセットで含まれています。なぜなら黄耆は人参のもつ作用を高めるからです。例えば、

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)

などがこれらを含んでいます。

この冬の時期では、風邪などの疾患で咳や倦怠感の症状がある場合に、鎮咳作用のある五味子(ごみし)を含んだ人参養栄湯がより適しています。このように、人参以外の生薬の組み合わせによっても適した処方が変わることがあります。気になられたら是非ご相談くださいね。

痛みに効果の期待できる漢方薬

痛みに対する専門家はペインクリニックと呼ばれ、主に麻酔科に所属する先生方が担っていますが、一般には町のお医者さんとしては少ないのが現状です。

腰が痛い、肩が痛いといって皆さんが受診されるのは整形外科が多いのではないでしょうか?

例えば階段から落ちて腰を打ったという痛みがあります。骨折していなければ、湿布、さらに鎮痛薬が処方されて安静の指示が出てそれでおおよその診療は終わりです。

そこで漢方の出番なのですが、そんな痛みに漢方が効くの?って思われるかもしれませんが、歴史を振り返ってみますと、江戸時代、世界で最初に乳癌のオペに成功した華岡青洲 (はなおかせいしゅう)が麻酔薬として使ったのは、実は「通仙散(つうせんさん)」という漢方薬なのです。

それで普通は痛みは消えていくのですが、数週間たっても痛みが消えずお困りの方もいらっしゃいます。

さて打撲の初期は痛く腫れて熱を持ちますがそれがだんだん冷えていきます。

お風呂に入ると痛みが楽になる。そういう方はまさに漢方薬が適応します。

冷えて痛む時は、附子剤(ぶしざい)の出番です。

附子(ぶし)という生薬は、生薬の中でも最も温める作用が強く、鎮痛作用を持った生薬です。打った、捻ったという痛みが長引いた時、具体的には、治打撲一方 (ぢだぼくいっぽう)と附子末、あるいは治打撲一方と桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)という組み合わせがよく効きます。

西洋医学では冷えに対する対処法がありませんが、漢方では冷えを改善する手段があります。ですから冷えのある痛みに対しては漢方の方が優れているのです。

腰下肢痛の場合、いわゆるぎっくり腰なら芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、あるいは、治打撲一方と疎経活血湯(そけいかっけつとう)の組み合わせ。

高齢者なら八味地黄丸(はちみじおうがん)と桂枝茯苓丸、少し浮腫がみられれば牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)と桂枝茯苓丸の組み合わせが有効です。

帯状疱疹後神経痛では麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などが効きますが、じっとしていれば痛みはないが、少し触れただけ、風が吹いただけでも痛みを感じるアロディニアという状態に対して、神経周囲組織が炎症後に乾いた状態になっていると考え、そこを潤してやろうという漢方薬、六味丸(ろくみがん)と麦門冬湯(ばくもんどうとう)の組み合わせが不思議なほど効果的です。

急に寒くなってきたので、冷えると痛いなどでお困りの方はご相談下さい。

夜中のおしっこが気になる方へ

今回は夜中にトイレで目が覚める、夜間頻尿でお困りの方いらっしゃいませんか?

今回は「排尿障害に有効な漢方薬」についてお話します。

まず挙げられるのは、おしっこのトラブル専用のお薬、猪苓湯 (ちょれいとう)です。これは下腹部辺りに熱候がある(つまり炎症がある)膀胱炎のファーストチョイスとされています。

頻尿や残尿感、排尿痛など尿路不定愁訴に幅広く用いられます。慢性的に症状の続く人、繰り返す人には似たお薬で猪苓湯合四物湯 (ちょれいとうごうしもつとう)が用いられることもあります。さらに炎症が強ければ竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)などが用いられます。

次に挙げられるのが八味地黄丸(はちみじおうがん)です。

漢方的なお腹の所見では、下腹部が軟弱で下半身が冷えるタイプの排尿異常に用いられます。老化に伴っておしっこが出にくくなったり、頻尿となったりするという方が増えてきますが、そんな方のお薬です。女性にももちろん使われるのですが、男性では前立腺肥大症のファーストチョイスです。

似たお薬に牛車腎気丸 (ごしゃじんきがん)があります。

これは八味地黄丸に利尿作用のあるゴシツ・シャゼンシを加え、体を温めたり、鎮痛作用のある附子の量が倍になり、胃腸にもたれる地黄の量が少なくなっていますので、ある意味では八味地黄丸の作用を増強し、マイルドにしたお薬です。

漢方専門施設の統計では、男性では60歳代、女性では80歳代をピークに、3人に1人にはこの類のお薬が使われていたほどポピュラーなお薬です。実はハルンケアは八味地黄丸がベースとなっています。

最後に紹介するのが清心蓮子飲(せいしんれんしいん)です。

これは気虚の状態で、疲労感があったり、抑うつ傾向があったり、逆にイライラしたりするなど神経過敏な状態の方に適しています。また、八味地黄丸が胃にもたれて飲めないという人にも適応します。ユリナールはこの清心蓮子飲がベースとなっています。

夜間2回以上、おしっこに起きてつらい方、市販のお薬の違いについて少しは理解いただけたでしょうか?

熱感があれば猪苓湯、下肢に冷感があって胃腸が丈夫なら八味地黄丸、胃腸が弱い人には清心蓮子飲となります。

最後に膀胱炎では、抗生剤が必須となりますので、恥ずかしがらずにまずはご相談下さい。

秋ばてと漢方

秋ばてという言葉が最近聞かれるようになりました。これは本来、夏ばてと言われていたものなのですが、最近の温暖化の影響でしょうか。季節が1ヶ月ずれてきたように感じます。

夏ばては本来、夏を過ぎて9月の中旬ほどになり、過ごしやすくなってから、手足や身体が重だるかったり、気力がない、食欲がないといった症状を呈するものを言いましたが、最近では夏の盛りの頃、食欲がなく、身体がだるく、何もする気が起こらないといった状態を指すようになりました。それだけ猛暑の影響もあるのでしょう。

今年の猛暑はいつまで続くのでしょうか?

盛夏の夏ばてには、その名の通り、暑さを冷まし元気を出させてくれる清暑益気湯が役に立ちましたが、日中の暑さに比べて、朝夕寒気を感じるようになってきたこの時期からは補中益気湯の出番です。

補中益気湯は消化機能を補い元気を益す薬という意味で作られたお薬です。

これらは補剤と呼ばれ、西洋薬にはないタイプの薬です。

元気が出る意味を医学的に解説するのは難しいですが、補中益気湯の作用としては、筋肉の低下を改善する。下垂傾向にある臓器を支え回復させる。食欲の改善、消化機能の改善、疲労感の改善、免疫力を高めるなどが主な作用と言われています。実際に不妊男性の運動能の低下した精子を改善したり、解熱剤では下がらないストレスによる発熱を解熱したりすることも知られています。

今はコロナ感染症、インフルエンザも流行っています。このまま冬場を迎えるかもしれません。うがい、手洗い、人の多い場所ではマスクも必要です。誰しも不摂生が続くと体調を崩してしまいます。

そんな時に役に立つのも補剤です。

コロナ、インフルエンザの予防にワクチンがありますが、ワクチンも万能ではありません。それは、毎年、次年度流行しそうなウィルス株を想定して、ワクチンを作っているからです。ウィルスも一定ではないのです。コロナウイルスもどんどん変化しています。

つまりワクチンは予防に有用ですが、ワクチン株と種類が異なれば、効かないこともあるのです。リスクの高い方には補中益気湯を飲ませておくと感冒に罹患する率が大幅に下がるという研究もあります。

補中益気湯で秋ばてを克服し、この冬の感冒・インフルエンザを予防するためにも不摂生を慎み、食欲の秋を楽しみましょう。

また体を動かし体力をつけておくことが最も有効な風邪の予防となります。

夏ばてについてⅡ

お盆休みが明けても暑い日が続きますが、皆様お元気でしょうか?

元気の「気」は健康の源の重要な一要素と考えられています。

今回はその「気」について紹介します。

「気」には「先天の気」と「後天の気」とあります。

「先天の気」とは親から授かったもので、「腎」に宿ると考えられています。つまり成長(老化)とともに減っていってしまうものです。

それを補うのが「後天の気」で、消化・吸収、呼吸から得られ、「脾や肺」に宿ると考えられてきました。その「気」が不足してくると「気虚」という病態を呈してくる訳です。

「気虚」という病態の診断基準をお示しします。

気虚の治療には、補脾(補中)という考え方をします。

その代表が以前紹介しました、補中益気湯ということになります。

現代では、経管栄養とか便利な方法もありますが、栄養を取ることはできても元気は出ません。漢方では、口から栄養を取るということを非常に重要視してきた訳です。

食事を味わい、楽しむということは単に空腹を満たす、栄養を取るということ以上に元気を与えてくれます。

暑さで食欲が落ちる季節だからこそ、食事を大切にして下さい。料理を工夫し、夏の食材を楽しみましょう。

夏バテしたくないですよね!

 7月に入り、全国的に暑さが厳しくなってきました。まだ梅雨明けしていない高温多湿のこの時期では、熱中症への警戒がより必要になります。「まだ大丈夫!」と思わずに、水分補給と暑さを避ける対策、エアコンなども上手く使いましょう。

今の暑さを考えれば、十分な対策をとっても体調不良が避けられない場合があります。そんな時に役に立つ漢方薬が『補中益気湯』、『清暑益気湯』です。この時期になると毎年決まって体調を崩す方、既に夏バテ傾向にある方にはぜひ、試していただきたい漢方薬です。

補中益気湯

「中(胃腸機能)を補い、元気を益す」というネーミングの漢方薬です。胃腸機能が低下して倦怠感を訴え、免疫力も低下している場合によいとされます。もともと体力のない方が暑い夏を乗り越えて頂くための処方です。暑さで微熱・寝汗が出てきたら処方するタイミングとなります。だるい、疲れた、しんどい等の倦怠感や、食べる気も起らないといった場合に使用してみて下さい。

清暑益気湯

上述した補中益気湯がベースとなり、「暑さを清めて元気を益す」という夏に特化した漢方薬です。通常は普通に過ごすことが出来る方が、暑いために体調を崩した時に使う処方です。麦門冬、五味子が体に足りない水分を補い、黄柏が火照った体を冷まします。また、夏に沢山水分を取ってお腹が冷えて下痢をしてしまう場合に対しても効果が期待出来ます。真夏に肉体労働者の方々に協力を頂いて行われた報告では、肉体労働時の体温上昇を軽減しています。じっとしていても汗がジクジク出る、のどが渇く、下痢をしやすいと言った場合に使用してみて下さい。

点滴をしてもなかなかだるさが取れないといった場合に対しても、この2つの漢方薬をどちらか飲めばスッキリすることでしょう。暑い夏を乗りきるためにこの漢方薬を利用してみて下さいね。お困りに方はぜひ、ご相談下さい。

水の異常に役立つ漢方薬!五苓散!

 漢方では、生体を維持する循環要素として、「気」、「血」、「水」といった考え方がありますが、今回は「水」の異常について紹介します。

 ヒトは1日に2Lもの水を体外に放出しており,それを食物や飲料によって補っていますが,腎臓の糸球体は1日に約180Lもの体液を濾過しその98%を再吸収しています。このように水は私たちが生きていく上で欠かせないものです。その水の流れが滞り、体のどこかで過剰となったり、偏在したりすることを漢方では「水滞」あるいは「水毒」といって治療の対象となります。

 主な症候は、以下の通りです。

 ①分泌異常:水様性鼻汁、喀痰、帯下、浸出液、尿利の減少・過多、水様下痢

 ②停滞:浮腫、胸水、腹水、関節液貯留、腫脹、胃内停水、腹中雷鳴

 ③自覚症状:動悸、めまい感、回転性眩暈、起立性眩暈、耳鳴、頭痛、口渇、  嘔吐、咳嗽、喘鳴

水毒の診断基準(総計13点以上を水毒とする)
身体の重い感じ 悪心・嘔吐
拍動性の頭痛 腸のグル音の亢進
頭重感 朝のこわばり
車酔いしやすい 浮腫傾向・胃部振水音 15
めまい・めまい感 胸水・心のう水・腹水 15
立ちくらみ 臍上悸(腹大動脈の拍動が触れる)
水様の鼻汁 水瀉性下痢
唾液分泌過多 尿量減少
泡沫状の喀痰 多尿

 治療生薬は、茯苓、蒼朮、白朮、猪苓、沢瀉、防已、黄耆、細辛、麻黄、杏仁、半夏、木通などで、利水薬と呼ばれます。そして代表的な方剤は五苓散です。

 これから暑くなるとビールやお酒の美味しい季節がやってきます。皆さんも二日酔いの経験はあると思いますが、これも水毒なのです。他にも車酔い、子どもに多い嘔吐下痢、今の時期であれば雨降り前に頭痛やめまいがひどくなる、体調がすぐれない。そんな時に手許に置いておきたい薬です。

 お困りの方はぜひご相談下さい。

気の異常・病

GW連休も終わり新たな環境に慣れた頃でしょうか?最近は急に気温も上がり体調を崩されている方はいらっしゃいませんか?

病は気からという言葉があります。

東洋医学には気・血・水といった考えがありますが気の異常が水・血にも影響をおよぼすと考えられています。

気とは生命活動を維持する大事なエネルギーと考えられていますが、目に見えないものですから、なかなか解明されていません。

気の病には次の3つのタイプがあります。

分類 病態 主な症状 治療法:生薬
気虚 量的不足 倦怠感・易疲労・食欲不振 補気:人参、黄耆
気鬱 循環障害・停滞 抑うつ・閉塞感・異物感 順気:厚朴、紫蘇葉
気逆 循環障害・逆流 のぼせ・動悸・不安 順気:桂枝、黄連

現代医学では診断のつかない症状でも、気のせいじゃありません。漢方では病名がつくのです。そして治療薬も用意されています。

分類 代表的な治療薬
気虚 六君子湯、 人参湯、 補中益気湯
気鬱 香蘇散、 半夏厚朴湯、 女神散
気逆 苓桂朮甘湯、 桂枝加竜骨牡蛎湯、 桃核承気湯

五月病とは新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称として使われています。また医学的には適応障害とも言われます。これもの病のひとつで受験、入学、転校、入社、転勤と春は環境変化によるストレスの多い季節でもあります。またストレスは現代病のひとつでもあって、最近ではSNSなど流行りのものまで私たちはストレス受けていたりするのです。

補気はほとんど中焦(脾胃)の機能を整え活気付ける方剤です。つまり気の不足は食事から補うとも考えられています。

ちゃんと朝食を取っていますか?

暴飲暴食を避け、過度なダイエットを慎み、1日3回規則正しい食事を取ることをお勧めします。

お困りのことがあればぜひ、ご相談下さい。