汗をかく季節になってきました!

3月も下旬になって急に気温があがってきました。

汗が出て止まらない、タオルやハンカチが何枚あっても足りないなど、困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか⁇

漢方治療では自然発汗が無ければ無汗(むかん)といい、あれば自汗(じかん)といいます。

つまり多汗症は自汗の過剰状態と考えますが、発汗の有無は漢方の診察のひとつの重要な物差しになります。

 

自汗の原因は大きく二つに分けられます。

一つは、表虚(ひょうきょ)です。表(ひょう)とは人体の表面付近、浅い部分を指します。

例えば急性熱性疾患の初期などにみられる悪寒や熱感といった体表の症状、首から上の咽喉痛、頭痛、首の強張りなどは表の症候です。

この表の機能低下(表虚)は自汗の原因になります。

表虚の典型的な治療薬は桂枝(けいし)(桂枝湯(けいしとう)が代表的)ですが、黄耆(おうぎ)も表の機能を高め正常化します。

代表的な方剤は、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)(水太りタイプでまた膝関節に水が溜まっているものにも用います)と黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)(虚弱な体質で、軟弱な皮膚からじとじとと汗をかく場合)です。

 

もう一つは裏熱(りねつ)です。裏(り)は人体の奥、中心部です。

内部にこもった熱は冷水を欲して口渇を招き、発汗(自汗)により熱を冷まそうとします。内部にこもった熱を冷ます代表的な生薬は白い石膏(せっこう)で、代表的な石膏含有方剤、白虎湯(びゃっことう)の名前の由来です。

代表的な方剤には、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)があります。

暑がりで強くのどが渇き冷水を多量に飲みたがる。そのくせ皮膚は乾燥気味という人に適応があります。今の時期、いくら水分を摂ってもすぐに汗をかいてしまい水分量だけ増える、体が火照る方が適応になります。

五苓散(ごれいさん)は浮腫などの水の偏在を調節しますが、結果として口渇を軽減し、桂枝含有で自汗を調整します。

そこで、妙に咽が渇いてむくみがちな二日酔いや夏バテにも有効です。

 

ほかにも精神的な発汗には柴胡(さいこ)の入ったものが適応となります。代表的な薬剤として手掌発汗が特徴的な四逆散(しぎゃくさん)や首から上の発汗が特徴的な柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などがあります。

急性熱性疾患における自汗は虚証となっていますが、多汗症の治療においては、虚実の鑑別、原因の鑑別が重要となってきます。

 

お困りの方はぜひご相談ください。

R7.3.16ブログ

 年度末で新年度を迎えるにあたり、子育てなど子供の成長とともにご苦労や楽しみなど様々ではないでしょうか?

 我が子も巣立ち始めていますが、親元を離れて疎通がとれなくなる場合もあると思います。特に父は娘を心配し、母は息子を心配することが多いように思いますが、同性でも異性でも仲が良い親子が増えているように感じる反面、親の威厳は薄れつつあるとも感じます。

 親の威厳が無いことが悪いとは言いませんし、社会においても上司が威厳を持たなければならないとも思いません。多様性の時代と言われますが、我が子はもちろん、教育や社会において個々に応じた対応をし、バランス良い環境を作ることが大切なのだろうと感じます。

 親は子を思い、教師は生徒を思い、上司は部下を思う。

 言い換えると親は子を守り、教師は生徒を守り、上司は部下を守ることは大事なのではないでしょうか!?

 しかしながら子供・生徒・部下のことを守らず人のせいにしたり、本人のせいにすることがとても目につきます。

 本当に残念なことだと感じます。

 生活の中で様々な苦難があると思いますが、本気で相談ができる親、先輩、友人などがいることはとても必要だと思います。

 そしてしっかり聞く耳を持つことも大切です。

 自分も常にそうできているか顧みないといけません。

 皆さんの周りが良い環境になっていくことを願っておりますが、良い環境になるためには自分の言動が大切なのだと思います。

R7.2.20ブログ

 今年は川尻の平地では雪が積もりませんでした。(過去形にして良かったかな?)

 しかし日本海側では大雪で被害が出ています。私も大学は金沢だったのでそれなりに経験はあるのですが、そのころの状況とは違っているようです。

地震などもあり様々に心痛みますが、一刻も早く安心して過ごせる時が来ることを願っております。

 さて、今回は「運動」について述べてみたいと思います。運動にウォーキングは入るのでしょうか?散歩やお出かけ・徒歩通勤は?スポーツやランニングは誰でも運動だと思われると思いますが、体操はどうでしょうか?

 医師として失格かもしれませんが、自分の価値観と言うのは個々で違うもので、「運動はしていないが歩いています」と言った自分に違和感を感じました。

 便利な時代で、「運動」とはとインターネットで調べるとすぐに「体力の維持や向上を目的として、計画的に行う身体活動」と書いてあります。

 ひねくれものの私は正直さらに悩みました。マラソン選手が歩くだけだと維持や向上はしないので運動ではない!?不定期にスポーツをするのは定期的ではないから運動ではない?

 些細なことですが、気になる自分がめんどうくさいやつだと思ってしまう今日この頃です。

 さて本題に入りますが、不定期でも、維持向上につながらなくても皆さんは体を動かしていますか?私は今年の目標として1日8888歩の歩行を掲げています。今のところ12月から月ごとで8888歩/日を達成しています。

 これまで車で行っていたコンビニや銀行、スーパーなどはもちろん、時間があれば歩くようにしています。エレベーターなども基本的には使いません。忘れ物をして引き返すのも歩数が稼げると捉え、面倒ではなくなり、遠回りして歩くことも違う景色が見ることができて良いものだと感じることができるようになりました。

 ただ一番の難関は夏!ここをなんとか乗り切れるように考えていかなければなりません。誰か良い方法があれば教えてください。

 私事の話で申し訳ありませんが、皆さんも体を動かして歩行困難を防ぎ、健康寿命を長引かせましょう!

 

 

 

つらい花粉症には漢方を!

 花粉症もちの方は、最近はしんどい日々を過ごされているのではないでしょうか?花粉症の症状で辛いのは、目のかゆみ、頻発するくしゃみ、かんでもかんでも止まらない鼻汁…。人によって様々ではありますが、これらの症状が特に辛いことでしょう。

 花粉症の際、どうしても鼻をかむ回数が多くなったり、強くかんだりしまったりしませんか?正しいかみ方をしないと鼻の粘膜を傷つけてしまったり、急性中耳炎を起こしてしまう可能性があるので注意して下さいね。また、アレルギー反応はもちろん、炎症によって鼻粘膜の浮腫が起こり鼻づまりを発症します。この鼻づまりが花粉症の症状を重症化させる要因なのです。

 鼻汁は通常、前(鼻の孔)からでる『前鼻漏』とのどに落ちる『後鼻漏』として排出されます。人間は誰しも1日1Lのサラサラした鼻汁を産生していますが、通常はのどに落ちている為気になりません。しかし風邪や花粉症の場合では、鼻汁の量が過剰になったり、ネバネバした鼻汁が排出されるので不快な症状を呈します。後鼻漏では、鼻づまりだけではなく喉の不快感などを伴うため、睡眠不足になったり体の不調をきたしやすくなるのです。

 そこで、今回紹介するのは『葛根湯加川芎辛夷 (かっこんとうかせんきゅうしんい)』という漢方薬です。この漢方薬はその名のとおり、『葛根湯』がベースとなっています。葛根湯とは皆さんご周知のとおり、風邪の漢方薬です。これに、川芎と辛夷という生薬を加えて鼻づまりを改善する漢方薬として使われています。川芎には、痛みやかゆみを抑える『去風(きょふう)』と、化膿に対応する『排膿(はいのう)』という薬能を有しています。そして、辛夷には、詰まったものを開通させる『通竅(つうきょう)』といわれる薬能をもっています。

 鼻づまりが起こると、首や肩にコリを生じたり、頭痛を起こすことがあります。この症状、風邪の初期症状に似ていませんか?葛根湯加川芎辛夷は、“葛根湯を飲みたくなってしまうような急性疾患(悪寒、発熱、無汗、項背部のコリ)に加えて、頭痛が強く、鼻づまりや鼻汁に難渋している”というのが適応証となります。鼻汁や鼻づまりの原因となる感染症や炎症に対しては葛根湯の部分が対応し、川芎と辛夷は鼻汁や鼻づまり自体に対応する、という構成になっています。

 ですので、花粉症が少し悪化し始め、風邪みたいな症状になってきたなと感じたら是非試してみて下さい。

R7.1.20ブログ

新しい年のはじまり、皆様いかがお過ごしですか?

アメリカ大統領が交代し世界が混乱しなければ良いですが、テレビで民主主義の弱点みたいなものを聞き、なるほどなと思いました。

強いものが強い、平等ではなく強いものが強い、法を犯しても強ければ罰せられない、国内でも民間だったら犯罪、脱税になるものも政治家は逃げ切れたり、大統領になると犯罪も成立しないなどよく見渡すと強いものが強い世界が蔓延(はびこ)っています。

以前にも伝えましたが、「・・・ファースト」とは自分さえ良ければ良いというニュアンスがあり私は嫌いですが、いろいろな国、色々な地域、色々な場所で見られます。

そうなるとその先には争い、戦争へとつながるのだろうと思います。

日本被団協がノーベル平和賞を授与されました。世界の人たちが平和を意識していかないと恐ろしい時代になりそうです。日本は大丈夫と胡坐をかいていたら大変なことになると思います。

平和ボケせず、一人一人が世界平和を望み、身近なところから取り組んでいかなければならないのだろうと思います。

新年早々、暗い話になってしまいましたが、大事なことなので意見を述べさせていただきました。

花粉症には漢方を

インフルエンザが少し落ち着いてきたと思ったら、花粉も飛び始めました。昨年の夏は猛暑で今年の花粉の飛散量は多いと言われています。花粉症持ちの患者さんは『今年もついに来たな!?』と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

皆さんは花粉症の薬に“効き目の強さ”があるのをご存知ですか?症状がひどい人には強いお薬が使われたりしますが、患者さんによっては眠気が起こると困る方もいますよね。最近のお薬は眠気は少ないようですが、効果が少し弱い場合もあります。花粉症の薬はそのようなところでコントロールが難しかったりします。

『眠気は起きないでほしいが、よく効いてほしい!!』これが花粉症を患う人の強い願いでしょう。そんな時こそ漢方薬の 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)の出番 です!小青竜湯(しょうせいりゅうとう)には麻黄(まおう)(主成分:エフェドリン)という生薬が含まれており、眠気を起こさず くしゃみ、鼻水、鼻づまりを改善するのです。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は『体の中から強力に温めて、鼻に溜まった水を散らす』為に作られた薬です。8種類の生薬で構成されていますが、主な作用は次の通りです。

症状がひどくて、鼻水がのどに流れてしまい痰や咳が出てしまってもこの薬で対処できます。味は酸っぱいですが、気にならない方はお湯にといて飲むとより効きが早くなります。(通常は約30分で効果が見られます)

 私がおすすめしたいのは、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を 補完的に使う という事です。

【服用のポイント】

①日中⇒小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、夜間⇒花粉症の薬(抗アレルギー剤)を。

②抗アレルギー剤の効果を高めたい時、眠気を抑えたい時に頓服として併用する。

③アレルギー性結膜炎にも効果があるので、目のかゆみを伴う場合に。

このような使い方が出来ますので、是非試してみてください。

早く効く漢方薬のご紹介!

漢方薬は長く飲まないと効かないと思っていませんか?

実はそんなことなないですよ。

今流行っている風邪やインフルエンザなどの急性疾患に対しては早く効果がでます。風邪には葛根湯(かっこんとう)、インフルエンザには麻黄湯(まおうとう)、花粉症には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、特にこどもの急性胃腸炎(嘔吐・下痢)には五苓散(ごれいさん)、足がつった時の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)など、飲んですぐに(5分~15分で)効いてきます。

1976年に現在の漢方エキス製剤が薬価に収載されてから、当時は慢性疾患に対して多く用いられてきました。

西洋薬でなかなか良くならない、難治性の病気に対して使われることが多かったのです。漢方医学教育がなかった当時としては仕方なかったのかもしれません。大学で漢方医学教育が始まったのは2001年以降です。世界最古の医学書と言われる傷寒論(しょうかんろん)は急性熱性疾患を対象にしています。

飲んですぐ効かないとだめなんですね。

風邪やインフルエンザに効く漢方薬は、生体防御反応を促進するような薬です。ウィルスに罹患すると、それを排除しようと生体防御反応が働き出します。温熱産生スイッチがオンになり、熱に弱いウィルスを排除しようと体温を上昇させようと仕向けます。インターフェロンが出てきて、インターロイキン1αといったサイトカインと呼ばれる免疫物質が出てきます。

その過剰な産生を抑えるのが外来ウィルスに対する漢方薬の作用だということが解ってきました。(一時的に熱は上がるかもしれませんが汗が出れば熱は下がっていきます)

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の効き方は未だよく解っていません。全ての漢方薬の中で上位に入っており、大変多く使われているお薬です。名前の通り、芍薬と甘草の二味からなる最もシンプルな漢方薬です。それなのにまだよく解っていないのです。

これまで芍薬のペオニフロリンと甘草のグリチルリチンがともに配糖体で、腸内細菌によって糖鎖が取れて有効成分が吸収されると考えられています。だから腸内細菌叢の状態によって効き方にも個人差があると考えられています。でもおそらく口腔粘膜からはもっと速やかに吸収され効果を発揮するのだと思います。口腔粘膜からだけではありません。五苓散はこどもでは注腸したり、独自に座薬を作製し使われているところもあります。おそらく粘膜から速やかに吸収され効果を発揮するんだと思います。

本来、急性疾患に対しては、1日3回毎食前というのはナンセンスなのです。頓服的に使われてきたのが実際です。

但し保険上の問題、副作用の問題もあります。

風邪には3-4時間おきに汗をかくまで。足がつったら即座に、夜中に足がつる人は寝る前に飲むのが効果的なのですが…。

お困りの方はぜひ、ご相談ください。

R6.12.16ブログ

ブログとしては今年最後の更新になります。

12月も半ばが過ぎ今年も終わろうとしています。

冬至も間近ですね。

時々西に向かって車を走らせていると、山の向こうに日が沈み、その山を越えたらまた日が見えることがあります。そんな時に何かひとつ乗り越えたなと感じるのは私くらいかもしれません。(何も乗り越えてなくても思ってしまう:笑)

世間では宇宙人は居ないと思っている方が意外に多いのかと思いますが、私は絶対にいると信じています。居なければ地球そのものを否定することになると私は思います。

宇宙の果てがどうなっているのか?考えても考えても想像がつきません。

これから人類がぶち当たる問題は沢山あるのだろうと思いますが、想像もつかないようなことが当たり前にできるようになり、人類が乗り越えていくことを願います。

そしてそんな訳のわからない発想をする私は現実を見て、ある時は落胆し、ある時は希望を持ち、そしてある時は実行していく。そして一つ何かを乗り越え達成したときに多くの方々と共に喜べればと思っています。

今年最後のブログで私が何を言おうとしているのかわからない方も多いかもしれませんが、それも未知で面白いと受け止めてください。

そして今後とも興味を持って見守り、支援していただければと願います。

今年も1年ありがとうございました。
皆さんの益々のご活躍並びにご健勝を祈り、年末の挨拶に変えさせていただきます。

生薬の附子(ぶし)と乾姜(かんきょう)について

冷えに対して西洋医学では確立した治療法はありません。

せいぜい下肢末梢の知覚障害、血行障害、運動障害がないことをチェックするくらいです。

大半の場合は(特に若い女性では)、西洋医学的治療の対象を見出せず、漢方の助けを借りることになります。漢方医学的な病態(証)の基本的な分類は『陰証』と『陽証』です。陰証は生体の反応力が低下した病態で、体温産生も不十分なため“冷え性”になりがちです。

漢方医学的には冷えを『寒』といいます。

さて実際の冷え症状は、全身型、上熱下寒型、末梢循環不全型と大きく三つに分類して治療方針を考えます。「全身型」は、全身的に寒が支配する真性の寒で、陰証の冷えです。治療は服用することで生体を温める熱薬(附子や乾姜など)を含む方剤を用います。

附子はトリカブトの根を減毒処理したもので、バーナーで燃やすように強く体を温める作用や鎮痛作用があります。

乾姜はショウガを蒸して乾燥させたもので体の中(裏)から温め、元気をつける(補気)作用が強いものです。

この二大熱薬である乾姜と附子に甘草を加えた方剤を四逆湯といい、温める漢方薬の基本骨格となっています。

尚、四逆湯はエキスにはありません。名前が似ていますが四逆散(ツムラ35)は全く別の薬なので注意が必要ですね。

R6.11.9ブログ

私は常々、職員に組織や利用者さんのためになることを取り組み、マイナスになることは言葉にしないように伝えてきました。

社会に出てもそんなことを言っても誰も得はしないし、自分の人格を損なうだけだと思うことがしばしばあります。

きっとその方々は自分では気付いていないのだと思います。

当然に私自身も気付かずに発言してしまっていることはあると思います。

気付き→対策し→実行することの大切さを様々な場面で発信してきましたが、その中でも気付くことは最も難しいことで、気付かなければ次にもつながらない大切なポイントだと思っています。

こんなことを言ったら他者はどう思うか、どう受け止めるか、受け止める方も人それぞれで、同じ個体でも体調や気分で同じことでも気に留めることもあれば気にならないこともあると思います。

自分の言動が相手にどのように伝わったかをその反応を見て気付くことも大切です。

少しでも気付き、少しでもマイナス発言や、足を引っ張るような言動が減ることで、戦争など争いも減るのだろうと思います。

自分をコントロールできなければ組織をコントロールすることはできません。

組織をコントロールできなければ周囲の環境をコントロールすることもできません。そもそも一人の力で出来ることは微力です。

力を合わせて良い方向へ行くようにしていける組織や環境はきっと楽しくもあり、やりがいがあるのではないのかと思います。

今年もあとわずかですね。寒さも厳しくなりそうですが心は燃やして前進していきましょう!