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こむら返りに効果のある漢方薬!
広島県では9月になっても連日暑い日が続いています。夏バテはもちろんですが、こむら返りを起こしやすい時期でもあります。特に夏場は、炎天下の中で労働されている人が水分や電解質の補給を怠った際に攣り(つり)やすくなり足を攣ってしまう等、色々な場面で遭遇します。
そのような事態に役に立つ漢方薬は芍薬甘草湯 (しゃくやくかんぞうとう)です。漢方薬は効果が現われるのが遅いというイメージがありますが、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は漢方薬の中でも即効性が期待出来ます。漢方薬の中には急性期に適している処方があります。その判断材料となるのが、構成生薬の数です。
一般的には7つの生薬以下のものは比較的早く効果が現われるといわれています。したがって、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は芍薬と甘草の2味で構成されているので比較的即効性があるとイメージできます。また、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は特に頻用されている漢方薬ですので西洋医学的にも即効性があるという事が研究で明らかになってきています。特にふくらはぎの痙攣には約4分程度で効果があるというデータが出ています。
しかし、それ程キレ味の良い漢方薬には服用においての注意が必要です。甘草という生薬です。これは漢方薬のおおよそ7割に含まれており、また、身近な食品にも甘味料として使われています(醤油、スナック菓子)。ですので、知らず知らずのうちに沢山摂取してしまっている危険性があるのです。甘草は低カリウム血症の発現要因ですので、十分な観察が必要となってきます。低カリウム血症を引き起こしやすいとされている、ご高齢の方、女性、甘草含有漢方薬の長期的な服用には注意し、定期的な血液検査のチェックや初期症状を見逃さないように心がけましょう。
※初期症状…全身倦怠感、脱力感、血圧上昇、浮腫 等
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は即効性もあり効果が期待できる漢方薬ですので、正しく服用。漫然的に服用するのではなく、攣った時・攣りそうなときに服用する、夜眠る前に1包飲むなどの工夫が必要です。
お困りの患者さんは是非、ご相談ください。
R6.9.10ブログ
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このたび「つづける∞つながる」という会を発足しました。8月30日(金)を予定していましたが、台風の影響で延期となり9月13日(金)に行うことになりました。
この会はコロナ禍前に行っていた「川尻・安浦地域包括ケアシステムを樹立する会」の後継として、呉市の地域包括ケアシステムを整え、人とのつながりを無限につなげていくことで、少しでも過疎化を抑制し過ごしやすい地域の存続を目指しています。
「樹立の会」では予行演習をしたことはなかったのですが、近年はしゃべりに自信がなく、話がそれやすく、くどくなりやすいため予行演習を行ったのですが、やはり年々人前で話すことが容易ではなくなってきたと感じています。
うまく伝えなければこの会は続かないというプレッシャーを感じれば感じるほど、伝えたい思いが増し話がまとまらない状況です。
参加、傾聴される方はそんな状況を少しだけご理解いただき、ご支援ご協力をお願いできればと存じます。
クーラー病について
夏もお盆休みを過ぎ、終盤に差し掛かってきました。この夏は猛暑のため、エアコンを使う頻度が高かったのではないでしょうか?今回は『クーラー病』について紹介します。
クーラー病はエアコン使用による冷え過ぎから起こる病気で、別名『冷房病』とも呼ばれています。症状は、頭痛、肩こり、腰痛、腹痛、疲労感、食欲不振、不眠症、むくみ 等、冷え症の症状と似ています。寒さ対策をすれば大丈夫、と考えがちですが、冷えている部屋に入るだけで症状が現れたり、夏場を過ぎても体調が整わなかったりするなど慢性化してしまうことがあります。特にひどくなると、頭痛や吐き気に悩まされることがあります。
頭痛といえば、皆さんがよく使うのはNSAIDsと呼ばれるお薬ではないでしょうか?ドラッグストアで簡単に手に入るものとして、バファリン、ロキソニン、イブプロフェン等々…。これらは非常に親しみやすく、飲んだら比較的早期に効くお薬ではありますが、クーラー病=冷えによる頭痛には不向きかもしれません。
実は、NSAIDsというお薬は、血管を収縮させることによって痛みを抑えます。血管を収縮させるということはその分血行が悪くなるので、体温が低下し、場合によっては頭痛の原因である『冷え症』や『肩こり』を悪化させてしまうことがあります。原因がエアコンなのですから、頭痛だけでなく、冷えも改善できるお薬を使いたいですよね。そういった場合に良いのが、『呉茱萸湯(ごしゅゆとう)』という漢方薬になります。
呉茱萸湯という漢方薬は、温めながら制吐と鎮痛に働く呉茱萸を中心に消化吸収機能改善の人参が加わり、手足に冷えがある虚弱な人の嘔吐を伴う頭痛に効果があり、頭痛のファーストチョイスの漢方薬です。
漢方薬は風邪の引き初めに用いる葛根湯でお馴染みですが、『体を温める』ことを得意としています。冷えによる頭痛で困っている方は、是非参考にしてみてくださいね。
R6.8.10ブログ
当院では在宅や施設での看取り対応をさせていただいていますので、しばらく「死」について考え、述べてみたいと思います。
多くの方が「ピンピンコロリ」を望まれていると思います。これはある程度高齢になって老後を過ごされている方には良いかもしれませんが、実際残されたご家族は心の準備ができておらず悔いや戸惑い、喪失感など複雑な状況になるものと思います。
また自分はどこでどのように死にたいか尋ねると、ご本人は自宅で延命治療せず自然に最期を迎えたいと言われます。ですがご家族からは出来るだけのことをしてほしので病院や施設で面倒を見てほしいということが多いように思います。
最期を迎えるころには、多くの場合意思疎通が難しくなり、ご家族のご意向で判断していくことになりますので、ご自身の思いは通らないことも少なくありません。
我々はできるだけご本人のご意向を重んじるように対応しますが、難しい判断も多くそうもいかない場合もあります。
そこでぜひお勧めしたいのがACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。最期をどのように迎えたいかだけではなく、どのように過ごしたいかなど自分の希望する生き方を示すものです。
ご家族から勧めることは難しいことなので是非とも自分から提案しご家族とお話ししておいてください。もちろん我々医療従事者もお手伝いすることは可能ですので遠慮なくご相談・お問い合わせください。
ちなみに私はすでにACPを記入しております。食べたいものを食べ、食べられなくなった場合はそのまま自然に苦しまずに最期を迎えられることを望んでいます。
まだまだ先のことでも良いですし、何度でも途中で考えを変更することは可能です。ご家族のためにも自分から早めにACPに取り組まれることをお勧めします。
今年の夏も猛暑に注意を!
広島県も梅雨明けして本格的な夏到来ですね!
今年の夏は昨年並み、昨年以上の暑さが予想されています。今年も例年以上に熱中症への警戒がより必要です。「まだ大丈夫!」と無理をせずに、水分補給と暑さを避ける対策を小まめにして下さいね。
しかし、それでも体調不良を避けられない場合があります。そんな時に力になってくれるのが『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』、『清暑益気湯(せいしょえっきとう)』という漢方薬です。この時期になると毎年決まって体調を崩す方、既に夏バテ傾向にある方必見です!
1.補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
「中(胃腸機能)を補い、元気を益す」というネーミングの漢方薬です。胃腸機能が低下して倦怠感を訴え、免疫力も低下している場合によいとされます。もともと体力のない方が暑い夏を乗り越えて頂くための処方です。暑さで微熱・寝汗が出てきたら処方するタイミングとなります。だるい、疲れた、しんどい等の倦怠感や、食べる気も起らないといった場合に使用してみて下さい。
2.清暑益気湯(せいしょえっきとう)
上述した補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がベースとなり、「暑さを清めて元気を益す」という夏に特化した漢方薬です。通常は普通に過ごすことが出来る方が、暑いために体調を崩した時に使う処方です。麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)が体に足りない水分を補い、黄柏(きはだ)が火照った体を冷まします。また、夏に沢山水分を取ってお腹が冷えて下痢をしてしまう場合に対しても効果が期待出来ます。真夏に肉体労働者の方々に協力を頂いて行われた報告では、肉体労働時の体温上昇を軽減しています。じっとしていても汗がジクジク出る、のどが渇く、下痢をしやすいと言った場合に使用してみて下さい。
点滴をしてもなかなかだるさが取れないといった場合に対しても、この2つの漢方薬をどちらか飲めばスッキリすることでしょう。夏の季節には上手く漢方薬を利用してみて下さいね。