クーラー病について

 夏もお盆休みを過ぎ、終盤に差し掛かってきました。この夏は猛暑のため、エアコンを使う頻度が高かったのではないでしょうか?今回は『クーラー病』について紹介します。

 クーラー病はエアコン使用による冷え過ぎから起こる病気で、別名『冷房病』とも呼ばれています。症状は、頭痛、肩こり、腰痛、腹痛、疲労感、食欲不振、不眠症、むくみ 等、冷え症の症状と似ています。寒さ対策をすれば大丈夫、と考えがちですが、冷えている部屋に入るだけで症状が現れたり、夏場を過ぎても体調が整わなかったりするなど慢性化してしまうことがあります。特にひどくなると、頭痛や吐き気に悩まされることがあります。

 頭痛といえば、皆さんがよく使うのはNSAIDsと呼ばれるお薬ではないでしょうか?ドラッグストアで簡単に手に入るものとして、バファリン、ロキソニン、イブプロフェン等々…。これらは非常に親しみやすく、飲んだら比較的早期に効くお薬ではありますが、クーラー病=冷えによる頭痛には不向きかもしれません。

 実は、NSAIDsというお薬は、血管を収縮させることによって痛みを抑えます。血管を収縮させるということはその分血行が悪くなるので、体温が低下し、場合によっては頭痛の原因である『冷え症』や『肩こり』を悪化させてしまうことがあります。原因がエアコンなのですから、頭痛だけでなく、冷えも改善できるお薬を使いたいですよね。そういった場合に良いのが、『呉茱萸湯(ごしゅゆとう)』という漢方薬になります。

 呉茱萸湯という漢方薬は、温めながら制吐と鎮痛に働く呉茱萸を中心に消化吸収機能改善の人参が加わり、手足に冷えがある虚弱な人の嘔吐を伴う頭痛に効果があり、頭痛のファーストチョイスの漢方薬です。

 漢方薬は風邪の引き初めに用いる葛根湯でお馴染みですが、『体を温める』ことを得意としています。冷えによる頭痛で困っている方は、是非参考にしてみてくださいね。

R6.8.10ブログ

当院では在宅や施設での看取り対応をさせていただいていますので、しばらく「死」について考え、述べてみたいと思います。

多くの方が「ピンピンコロリ」を望まれていると思います。これはある程度高齢になって老後を過ごされている方には良いかもしれませんが、実際残されたご家族は心の準備ができておらず悔いや戸惑い、喪失感など複雑な状況になるものと思います。

また自分はどこでどのように死にたいか尋ねると、ご本人は自宅で延命治療せず自然に最期を迎えたいと言われます。ですがご家族からは出来るだけのことをしてほしので病院や施設で面倒を見てほしいということが多いように思います。

最期を迎えるころには、多くの場合意思疎通が難しくなり、ご家族のご意向で判断していくことになりますので、ご自身の思いは通らないことも少なくありません。

我々はできるだけご本人のご意向を重んじるように対応しますが、難しい判断も多くそうもいかない場合もあります。

そこでぜひお勧めしたいのがACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。最期をどのように迎えたいかだけではなく、どのように過ごしたいかなど自分の希望する生き方を示すものです。

ご家族から勧めることは難しいことなので是非とも自分から提案しご家族とお話ししておいてください。もちろん我々医療従事者もお手伝いすることは可能ですので遠慮なくご相談・お問い合わせください。

ちなみに私はすでにACPを記入しております。食べたいものを食べ、食べられなくなった場合はそのまま自然に苦しまずに最期を迎えられることを望んでいます。

まだまだ先のことでも良いですし、何度でも途中で考えを変更することは可能です。ご家族のためにも自分から早めにACPに取り組まれることをお勧めします。