葛根湯(かっこんとう)について

先日(12月16日)もテレビで漢方薬のことを紹介していました。「林修の今でしょ!講座」という番組です。ご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

その中で紹介されていたのは、

1.かぜにでも どんなときにも 葛 根 湯(かっこんとう)

2.筋肉が けいれんしたら   芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

3.二日酔い お任せ下さい   五 苓 散(ごれいさん)

4.イライラに 女性の味方   加味逍遥散(かみしょうようさん)

さて、テレビなので多少、誇張表現はあるのだろうと思いますが、いささか説明が足りないと感じたのが葛根湯でした。

葛根湯という漢方薬はかぜのひき始めには本当に良い薬です。落語にも出てきますので葛根湯のことをご存知の方も多いと思います。

落語に出てくる葛根湯は、何にでも葛根湯を出す藪医者の話です。でも確かに葛根湯の効能を見ますと「感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん」とあります。何にでも使えそうです。

「かぜ」に使う時は、ぜひ、お湯に溶いて飲んで下さい。体を温め、寒気を取ってくれるからです。用法・用量は「通常、成人1日7.5gを2-3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。」となっています。早く効かすために、最初は一度に2袋飲んでも構いません。でも次に飲む時は、3-4時間は空けて下さい。1日に6包までは飲んでも大丈夫です。但し、高齢者で慢性心疾患、虚血性心疾患、不整脈がある方はこの通りではありません。

速効性のある薬です。少し薬学的に言えば、()(おう)という生薬の主成分であるエフェドリンという物質は非常に早く吸収されます。1-2時間で血中濃度はピークを迎えます。だから速効性があるわけですが、逆に副作用を考えると、例えばお年寄りで前立腺肥大のあるような方ですと、おしっこが出なくなってしまう事もあるのです。ですから3-4時間は間隔を空けて欲しいのです。

肩こりにも効果的です。確かに項背部の表面温度が上がります。でもこの時は、風邪の時のような飲み方をしてはいけません。用法・用量どおり1日3回でお願いします。葛根湯は血液循環を改善し、頚部の凝りを緩和しているのだと思われます。

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今年もあと半月…

12月になりとても寒くなってきました。全国的にはインフルエンザが流行しているようですが、まだ呉、川尻、安浦では流行しているというほどではないようですが、冬休み前には多少流行するものと思いますのでお気を付けください。

さて、今回は12月13日のことを書いてみようと思います。

午前中は診療を行い、お昼からは職員の面談、忘年会の準備、夕方には子供の剣道級審査があり安浦の武道場に初めて行きました。

安浦支所の隣にあり、わずかな時間ではありましたが道場に入り、見学しました。 安浦の道場は剣道が主に使っているようで川尻にはありませんので恵まれていると感じました。

最近、夜に安浦のお食事処にも時々行くことがありましたが、「安浦には食事だけでなく、色々な環境が整っている」と感じます(住んでいないので良く見えるのかなぁ!?)

川尻の支所も移転しきれいになりましたが、安浦の支所の方が広々としているように思います。

話がそれましたが、剣道の後、急ぎ足で医院に帰り法人の忘年会がありました。ケアビレッジたつきが開設して初めての忘年会で60名あまりの職員が参加しました。

出だしから職員が挨拶に来てくれて、食べる前にビール腹になり、回りが早かったように思いますが、その中で実行委員がビンゴ、私が出し物、職員がクイズを行い、とても盛り上がり楽しんでくれたのではないかと思います。

二次会は個々思いの通りに行ったり、帰ったりしましたが、医院にも10名程度寄り、いろいろと話をしました。私は途中眠たくなりダウンしましたが、皆何時までやったのか?朝起きたら何人か院内で寝ていたようです。

施設は人員や利用者さんいろいろなことで順調とは言えませんが、この忘年会で職員に法人の理念、方向性を伝え、ある程度共感してくれたのではないかと思います。

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悪いことは忘れ、良い事は今後に活かし、来年につなげていければと思います。

介護施設を始めようとした時と現在(現実)では、私が想定した状況と大きな隔たりがありますが、その状況にもう一度近付けるように努力したいと思います。

そのためには職員は元より、地域の方々や介護関係者にも応援していただける法人にならなければと思います。

 今年もあと半月となり、みなさま、仕事や家庭などで大変でしょうが、体に気を付けてがんばってください。

女性と漢方

昨年(2013年)の人口動態統計を見ますと合計特殊出生率は1.41で出生数から死亡数を引きますと24万4000人、人口が減ったことになります。この少子化の背景には晩婚化、晩産化があります。初産の年齢は30歳を過ぎています。

晩婚化・晩産化は、通常の月経周期を繰り返す女性が増えるということから、子宮内膜症、子宮筋腫の増加につながります。また最近の社会環境の変化から、過剰なストレスやダイエット、喫煙、運動不足などは月経不順や無月経の原因ともなります。

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さて、漢方薬は女性医療には欠かせないものとなってきていますが、漢方専門外来の7割は、女性だそうです。女性に対する3大処方と言われる当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)加味逍(かみしょう)遙散(ようさん)桂枝茯苓(けいしぶくりょう)(がん)を使っていない産婦人科病医院はありません。

 

漢方的に見た女性の特徴は、

①   「陰証(いんしょう)」が多い(冷え性が多い)。

  ⇒ 当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)当帰四逆加呉茱萸(とうきしぎゃくかごしゅゆ)生姜(しょうきょう)(とう)など

②   「虚証(きょしょう)」が多い(筋肉量が少ない下垂体質、疲れ易い、風邪を引き易い)。

  ⇒ 人参(にんじん)(とう)(りっ)君子(くんし)(とう)補中(ほちゅう)(えっ)()(とう)十全(じゅうぜん)大補(たいほ)(とう)など

③   「気鬱(きうつ)」が多い(軽微な抑うつ感が身体症状に現れ易い)。

  ⇒ 半夏(はんげ)厚朴(こうぼく)(とう)香蘇散(こうそさん)加味逍(かみしょう)遙散(ようさん)など

④   「(けつ)」の異常が多い。月経異常は「()(けつ)」であり、貧血や血行障害は「(けっ)(きょ)」と捉えます。

  ⇒ 瘀血 : 桂枝茯苓(けいしぶくりょう)(がん)桃核承(とうかくじょう)()(とう)など

  ⇒ 血虚 : 当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)十全(じゅうぜん)大補(たいほ)(とう)など

⑤   「(すい)」の異常も多い。浮腫内リンパ性水腫によるめまいも水の異常です。

  ⇒ 五苓散(ごれいさん)当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)など

 

お薬の方からまとめますと、

(23)当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん) : 陰証、虚証、血虚、水毒

(24)加味逍遙散 : 気鬱

(25)桂枝茯苓丸 : 瘀血

となり、福岡県にある飯塚病院漢方診療科や「女性に劇的、漢方薬」などの著書のある益田総子先生らも、女性に対する漢方薬としては、当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)の使用量が最も多かったと報告しています。