昨年(2013年)の人口動態統計を見ますと合計特殊出生率は1.41で出生数から死亡数を引きますと24万4000人、人口が減ったことになります。この少子化の背景には晩婚化、晩産化があります。初産の年齢は30歳を過ぎています。
晩婚化・晩産化は、通常の月経周期を繰り返す女性が増えるということから、子宮内膜症、子宮筋腫の増加につながります。また最近の社会環境の変化から、過剰なストレスやダイエット、喫煙、運動不足などは月経不順や無月経の原因ともなります。
さて、漢方薬は女性医療には欠かせないものとなってきていますが、漢方専門外来の7割は、女性だそうです。女性に対する3大処方と言われる当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸を使っていない産婦人科病医院はありません。
漢方的に見た女性の特徴は、
① 「陰証」が多い(冷え性が多い)。
⇒ 当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など
② 「虚証」が多い(筋肉量が少ない下垂体質、疲れ易い、風邪を引き易い)。
⇒ 人参湯、六君子湯、補中益気湯、十全大補湯など
③ 「気鬱」が多い(軽微な抑うつ感が身体症状に現れ易い)。
⇒ 半夏厚朴湯、香蘇散、加味逍遙散など
④ 「血」の異常が多い。月経異常は「瘀血」であり、貧血や血行障害は「血虚」と捉えます。
⇒ 瘀血 : 桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
⇒ 血虚 : 当帰芍薬散、十全大補湯など
⑤ 「水」の異常も多い。浮腫や内リンパ性水腫によるめまいも水の異常です。
⇒ 五苓散、当帰芍薬散など
お薬の方からまとめますと、
(23)当帰芍薬散 : 陰証、虚証、血虚、水毒
(24)加味逍遙散 : 気鬱
(25)桂枝茯苓丸 : 瘀血
となり、福岡県にある飯塚病院漢方診療科や「女性に劇的、漢方薬」などの著書のある益田総子先生らも、女性に対する漢方薬としては、当帰芍薬散の使用量が最も多かったと報告しています。