皮膚のかゆみ

皆様、新年明けましておめでとうございます。良いお正月を過ごされましたでしょうか?

新年早々に能登半島地震が起き、大変な被害が出ております。一日も早い復興を祈願しております。

今回は冬の季節に特に多くなる、『かゆみ』をテーマに、紹介していきます。

冬の乾いた外気と、皮脂の欠乏、発汗の低下などが合わさって起こる皮膚の病気を『皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)』といいます。皮脂の分泌が低下する高齢者や妊娠中の女性に多くみられ、その名の通り強いかゆみが生じます。外部から皮膚を守っている角層のバリア機能が乾燥によって失われる為、知覚神経が刺激を受けやすくなり、かゆみを生じるのです。

一般的な治療では、皮膚の乾燥を防ぐために保湿剤のクリームやローションを塗ります。また、かゆみがひどい場合にはステロイド剤、かゆみ止めを用いることもありますが、十分な効果が得られない時もあります。

すぐに出来る対策としては、室内環境を整えることです。暖房などを使う際には、加湿をし、室内の湿度を一定に保つよう心掛けて下さい。

しかし、かゆみは痛みと違って、掻くという行為で解消できる症状です。しかし我慢できずに掻き続けてしまうと、それがまたかゆみを強め、悪循環になってしまいます。強いかゆみはやがて大きなストレスとなり、睡眠障害やイライラを引き起こすこともあります。

そんな辛いかゆみに対して、通常治療の効果を高められるような漢方薬を紹介します。

当帰飲子(とうきいんし)・・・・・・皮膚に潤いがなく乾燥して、かゆみがある慢性の皮膚疾患に処方されます。元来、かゆみ・腫れ・かさぶた等の症状を伴う皮膚炎に使用されていました。14世紀以降は、乾燥性の皮膚炎に良いとされ、特に虚証タイプ(高齢者などの虚弱な方)向けに使われてきました。この漢方薬には血流を良くし、皮膚のバリア機能の回復をはかる『四物湯(しもつとう)』という漢方薬をベースに、皮膚を強くしたり、かゆみ・痛み止めの役割を果たす生薬が加わっています。皮膚のターンオーバーが出来ない状態に、外用剤の機能を高める役目をします。

また、精神不安・不眠症などのメンタル的な要素が加わった場合には加味帰脾湯(かみきひとう)という漢方薬もおすすめします。こちらには、精神を安定化させる生薬も含まれています。

かゆみが我慢できない、背中などがかゆくても手が届かないなどといった悩みがある方は是非相談して下さいね。