女性と高齢者に多い便秘

男性に比べて「女性」に便秘が多いのはなぜでしょうか?

それは筋力の違い、生理があること(女性ホルモンとの関係)、ダイエットです。
女性のための漢方治療では、積極的に便秘を解消することが薦められています。
その代表は桃核承(とうかくじょう)()(とう)です。月経痛、月経不順、更年期障害、にきびその他の皮膚症状などのときには少しでも大黄(だいおう)の入った漢方薬を用いるとよいとも教科書には書いています。承気湯という名前がつく漢方薬には、大黄と芒硝(ぼうしょう)が含まれています。大黄は刺激性下剤でアローゼンやプルゼニドと同じ成分を含んでいます。芒硝は塩類下剤で酸化マグネシウムと似た成分を含んでいて、便を柔らかくする作用があります。西洋薬の瀉下剤は成分が純粋なだけに最初は良くても毎日連用していたら次第に効かなくなってしまいます。これを耐性(たいせい)といいます。通常量の瀉下剤で効かないという方は早めに漢方薬への切り替えをお勧めします。

さて、高齢者」に便秘が多いのはなぜでしょうか?
それは加齢に伴う筋力の低下、生理機能の低下(体の乾燥=水分不足)などが考えられます。
高齢者の瀉下剤の代表は、麻子(まし)(にん)(がん)です。これにも大黄が含まれています。日本老年医学会の高齢者のための薬物治療のガイドラインにも推奨されています。
最近発売された新薬にアミティーザというものがあります。これは小腸の水分分泌量を上げて便を軟らかくし排泄しやすくする薬です。実は漢方薬にも滋潤剤というものがあります。その代表的なものは、()(おう)や麻子仁、(きょう)(にん)などです。精油成分を含み、便を滑りやすくし便通を改善させる潤腸作用があると言われているものですが、最近の研究で、やはり小腸での水分分泌量を増やすことが明らかになってきています。
日本老年医学会診療ガイドラインでは、麻子仁丸をセンナや大黄末、鉱物性下剤よりもまず先に使うと推奨しています。使い方は、眠前1包で十分。もし効果が弱い時は眠前2包もしくは2包分2(眠前1包、朝1包)でもよいとしています。
もう一つ高齢者向けの瀉下剤として(じゅん)(ちょう)(とう)というものもあります。この違いは、麻子仁丸に比べて大黄の量が半分なのでよりマイルド、虚弱者向けともいえますが、甘草を含みますので長期には偽アルドステロン症への注意が必要です。甘草を含まない麻子仁丸はそうした副作用への懸念のないことも推奨理由の一つなのではないかと考えられます。

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