ウイルス性胃腸炎と漢方薬

ここ最近、急に寒くなり広島でも雪がちらほら降り始めましたね。
やっと冬らしく感じられるようになってきました。
冬場、特に12月~1月にはノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスによる感染性胃腸症が流行し、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛や発熱などの症状で来院される患者さんが多くなります。
 
ウイルス性胃腸炎の一般的な治療では、嘔吐や下痢に伴う脱水に対して経口による補液を行い、症状や脱水が強いときには点滴による補液を行う場合もあります。
また、吐き気が強ければ制吐剤、腹痛が強ければ腸管蠕動抑制剤を頓用で使用し、整腸剤を数日服用して様子を見ることが多くなっています。
ほとんどの人は数日で治っていくことが多いですが、その間のつらい症状に苦しむことなく出来るだけ早く治って欲しいですよね…。

そんな時には漢方薬の出番です! 
まず試していただきたいのが 五苓散(ごれいさん) です。この漢方薬は5つの生薬から構成されています。
(下の表は、生薬の主な役割を簡単に示しています。) 
桂皮(けいひ)蒼朮(そうじゅつ)
体を温める
沢瀉(たくしゃ)茯苓(ぶくりょう)猪苓(ちょれい)
体の水分をコントロールする
 
五苓散(ごれいさん)は大人から子どもまで比較的安心して使え、おおよそ8割方はこの漢方薬のみで対応できると思います。
しかし運が悪く胃腸症状が長引いてしまった場合は、再度診療科へ受診し体の状態を診てもらってから、ほかの漢方薬に切り換えるなどの治療をおすすめします。
漢方薬には次の一手となる薬が沢山あるので、患者さん一人一人に合わせた治療が出来るのです。安心してくださいね。
 
五苓散(ごれいさん)の豆知識
今回はウイルス性胃腸炎の治療薬として紹介しましたが、五苓散(ごれいさん)はほかの症状でも広く使われています。
むくみ、二日酔い、暑気あたり、頭痛、めまいなど日常生活でよく見られる症状に対しても効果があるので、興味があればぜひ試してみてくださいね。

goreisan