だんだんと本格的に暑くなってきましたね。
夏バテ・熱中症にならないように空調や体調管理には気をつけて下さい。
今回は『漢方の胃薬』として知られている「六君子湯」について意外なお話を紹介したいと思います。
六君子湯という漢方薬は、明の時代につくられた『万病回春』という医学古典に掲載があります。
「回春」とは、「春が巡ってくる」という意味で、
ここから転じて「病気が回復すること」や「若返る」ことを指す言葉として
用いられるようになりました。
「万病回春」という医学書には「衰えた精力を取り戻す」ことの出来る漢方薬、
いわゆるアンチエイジングの漢方薬が掲載されているものとイメージ出来ると思います。
高齢化が問題視される日本社会では、『健康寿命』がキーワードとして取り上げられています。
健康寿命とは、WHOが2000年に提唱した、
『日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、
自立した生活ができる生存期間』
を表し、寿命に対する健康寿命の割合が高いほど、寿命の質が高いと評価され、
結果として医療費や介護費の削減に結び付く、という概念です。
六君子湯は最近の研究報告で、『健康寿命を延長させる漢方薬』として注目を浴びるようになりました。
構成生薬
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役割
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人参、甘草、蒼朮、茯苓
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食欲を改善する(補気・補脾)
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陳皮、半夏
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胃腸の動きを良くして、嘔吐や膨満感、痞えを改善する
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半夏、生姜、茯苓(=小半夏加茯苓湯)
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吐き気や嘔吐に対応できる
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「食欲を改善させる」についてですが、西洋医学的にも裏付けが証明されています。
グレリンという摂食促進ホルモンを介して作用することがわかっており、
低下した食欲を通常状態に戻してあげるというなんとも便利に働くことが報告されています。
高齢になってくると気づかないうちに食が細くなってしまったり、消化吸収機能を含め、
臓器に何らかの機能低下がみられたりすることがあると思います。
当てはまる場合には是非ご相談下さい。
このような漢方薬が皆さんの健康や生活の豊かさに貢献出来ることを期待しています。