大建中湯という漢方薬について

大建中湯の構成生薬であるサンショウ
(煮物・焼き物・お吸い物などの料理に使われるおなじみの食材)の他、
カンキョウ(ショウガの根茎を湯通し後に乾燥させたもの)ニンジン、コウイ(飴)は
そもそも「食品」といってもよく、いわば大建中湯は漢方薬の薬膳料理と言い換えてもいいと思います。
 
そのため大建中湯は、お腹の血液の流れを増やし、お腹を温めて、腸の動きを整える
「薬膳料理」のようなお薬なのです!!
 
また大建中湯の4つの構成生薬は非常に安全です。
(副作用発現頻度調査において3269例において64例72件 副作用発現頻度2%でした
:メーカー調査)
 
大建中湯は「体力虚弱で特に腹部に冷えや膨満感」がある方に適した漢方薬になります。
臨床では証(実証:元気な方、虚証:元気がない方)をあまり気にせず、
消化管手術後のイレウスの治療や予防、また便秘に伴う腹部膨満感・腹痛などに
効果が確認されています。
 
大建中湯の服用法は水で服用するのではなく、ぜひお湯で一旦顆粒を十分に溶かして、
できれば温かいうちに服用することをお勧めします。具体的には50mL程度で溶解し、
水を加えて好みの温かさと濃さでの服用をお勧めします。
お腹の冷えに対して、温かい大建中湯の服用は理にかなっています。
 
大建中湯にはダイオウ(刺激性下剤の役割)やボウショウ(塩類下剤の役割)など
強い生薬は含有されていません。
お腹を温めて腸管の蠕動運動を整えることによって
腹部膨満感・腹痛の改善が報告されています。
 
①  便秘・腹部膨満感でお困りの方・・・
②  便秘薬を服用して腹痛で長く飲めないなどでお困りの方・・・
 
ぜひ、一度ご相談ください!!!

benpi

H30.11.6ブログ

私が好きな言葉に「良いことはすぐやります。悪いことはすぐやめます」というのがあります。
簡単そうでとても難しいことですが、ずっと続けてきた習慣を変えることも容易ではありませんし、
良いことだからと労力を使って新しいことを始めるのも負担が増えることです。
しかしながらそうしたことを積み重ねることで、信頼され、仕事も効率化し
生き方そのものが好転してくるのではないかと思っています。
この言葉はそうごう薬局の方が言われていた言葉で、パクって時々使わせてもらっています。
一人ひとりがそうした事に気付き、取り組んでいける法人になることを
目指していきたいと思っています。
最近新たなことに取り組もうと考えてくれている職員が増えています。

また苦難を乗り越えようと考えてくれている人もいます。
まだまだ道半ばですが、法人だけでなく社会、世界に投げかけたい言葉だと思います。

suguyarusuguyameru

風邪のあとの咽頭痛には小柴胡湯加桔梗石膏!

10月に入り朝晩が急に冷えてきて、皆さん、風邪を引いてませんか?
また熱は下がったけど喉が痛くて困っているという患者さんはいらっしゃいませんか??
今回はそんな時に使う漢方薬、小柴胡湯加桔梗石膏をご紹介します!
 
小柴胡湯加桔梗石膏は小柴胡湯という漢方薬がベースになっています。
小柴胡湯は日本では古くから肝炎の薬として使用されてきましたが、
中国では「風邪薬」として使用されてきました。
 
小柴胡湯は往来寒熱(午前は熱が出ないが午後に熱が出る)、口が苦い、喉が痛い、
胃腸の調子が悪いなどの症状、風邪の初期ではなく若干、長引いた時に使う漢方薬です。
小柴胡湯加桔梗石膏は咽頭痛に対して小柴胡湯を更にパワーアップした
処方構成(プラス石膏・桔梗)になっています。喉が赤くなって痛い、
扁桃炎を繰り返すなどの状態に効果が期待できます!!
 
特に風邪の引き始めにOTCの風邪薬を飲んだけど、スッキリしない、
熱は下がったけど、口が苦くて食事が美味しくない、喉が痛い・腫れている、
胃腸の調子が悪いなどの症状でお困りの患者さんへ
ファーストチョイスで処方される漢方薬、それが小柴胡湯加桔梗石膏です!!
 
小柴胡湯加桔梗石膏の服用方法は白湯に溶かして、
口の中でうがいをしてから吐き出さず飲み込みます。
そうする事で成分が患部に当たり、より効果を発揮します。
今回、ご紹介したお薬は桔梗という生薬が甘くて漢方薬の中でも飲みやすいと思います。
 
これからのシーズン、風邪・インフルエンザも流行ってきます。
風邪が長引いて、咽頭痛でお困りの患者さんは是非、ご相談下さい!!

intoutu

H30.10.11ブログ

気候も良くなり、長年していなかったゴルフを再開しました。
いつからしていないのか忘れましたが、10年以上まともにしていません。
 
再開した理由と辞めた理由どちらが気になられますかね?
他人事でどっちでも良いかもしれませんが・・・
 
始めたのは、知人がゴルフにはまっており、
スイングを見てクラブ1本で勝てると豪語したのが始まりです。
辞めたのは様々ですが、社会や医療関係の情報交換の場では無くなり、
競技性が増すなか自己の成績も伸びず、メリットも無くなり、子供の習い事なども原因です。
 
自分のクラブも知人にあげ、クラブすらなかった状況から中古クラブを購入し、
豪雨災害前に準備を済ませたのですが、行くこともなく3カ月が過ぎ、
先日やっとコース再デビューしました。
午後から18ホール連続で回り、正直疲れ果てました。
スコアも付けず内容は最悪、身体もボロボロになりました。
 
かろうじて知人には勝ちましたが、楽しさよりも辛さの方が大きかったです。
 
これから続けるか・・・
体を壊さないように、気候の良い時だけに、散歩と自然の中でリフレッシュの為に
続けるくらいにしようかと思っています。
なので、このブログを拝見された方が私にお声をかけて下さる方もいらっしゃると思いますが、
ほとんどお断りすると思いますのでお許しください。

sugafar

芍薬甘草湯はしゃっくりにも使える!

今回は『しゃっくり』についてお話したいと思います。
肺の下に位置する筋肉である横隔膜(おうかくまく)が痙攣すると、声帯の筋肉が収縮します。
狭くなった声帯を息が通ることで、「ひっく」といった音を発声します。
この異常呼吸を『しゃっくり』といい、またの名を『(きつ)(ぎゃく)』ともいいます。
横隔膜の痙攣によるしゃっくりは、特別な理由がなくても発症し、健康な人でも起こり得ます。
ほとんどは数分ほどで自然に治ります。

しかし、頭部外傷や心筋梗塞、腫瘍などの器質的な疾患が原因の場合は、
病気を治療しないことには止まらないこともあります。

原因が不明な場合には漢方薬などを使う手があります。

例えばその代表処方が芍薬甘(しゃくやくかん)(ぞう)(とう)です。
この漢方薬はこむら返りに使われることでお馴染みです。
しゃっくりに効果的な漢方薬を3処方紹介します!
 
芍薬甘(しゃくやくかん)(ぞう)(とう)
 この漢方薬には鎮痙・鎮痛効果があります。
 ふくらはぎの筋肉の異常収縮以外にも、胃痛や生理痛にも用いることができる処方です。
 しゃっくりに用いるときは芍薬甘草湯単独、あるいは呉茱萸湯(のちほど解説します)と
 併用で用いられます。
 芍薬甘草湯はあまり証を考慮せずに用いても効果がある漢方薬ですが、
 [甘草]の含有量が多いため、低カリウム血症などの副作用には注意が必要です。
 
呉茱萸(ごしゅゆ)(とう)
 この漢方薬は、全ての生薬が温める方向性を持っており、冷えを訴える方に適しています。
 特に、[呉茱萸]は、吐き気や嘔吐を改善する「止嘔」の薬能をもつ生薬です。
 普段から冷え性の方が、何らかの原因でさらに体の芯まで冷えて、
 吐き気やしゃっくりを生じる場合に使う処方です。
 
半夏瀉(はんげしゃ)(しん)(とう)
 難治性のしゃっくりにはファーストチョイスとなります。
 なぜ効果があるのかははっきりわかっていませんが、
 ストレス関連の場合には試してみる価値があります。
 半夏瀉心湯はかつて吉田茂首相のしゃっくりの治療に使用されたことが知られています。
 初回1包ないし2包(2.5~5g)を湯呑1杯程度のお湯に溶かし、冷やしたところで
 一気に服用し、その後、原疾患にもよりますが1日3包(7.5g)を数日間継続するという
 方法があります。
 
もししゃっくりがなかなか止まらないという場合があれば、
このような漢方薬を用いてみてもよいかもしれませんね!


syakkuri


H30.9.8ブログ

豪雨災害から2か月が過ぎ、関西周辺は台風、北海道では地震で大きな被害が出ています。
被害に遭われた方々のご冥福を祈るとともに早期復旧を願います。
豪雨災害では多くの交通機関が麻痺し、日々の復旧作業で回復してきています。
まだまだ完全復旧までには時間がかかる所ですが、関西国際空港が浸水し、
車や倉庫などが風で飛ばされ台風被害でも交通に大きな打撃を与えました。
さらに日を空けず、北海道で大地震となり、北海道から関西へ行かれる方々は何日も足止を食らい、
電気の無い時間を過ごされ大変な状況であったと思います。
 
豪雨災害のボランティアも続く中、各地でも被害があり、
復旧活動に疲れ果てている方も少なくないのではないでしょうか!?
酷暑の中で誰かの為にボランティアをされてきて、
立て続けに災害が起こり心身ともに疲弊するものと思います。
被害に遭われた方々はもちろんですが、全ての被害に携わり、現場に足を運び努力されている方々は
少なくないと思います。
この場をお借りして、災害復旧に関り、早期復旧にご尽力頂いているすべての方々に感謝申し上げます。
 
当地では断水が長く続き、大変でしたが、北海道では停電で水、食料、交通、全てにおいて
ライフラインが切崩されています。
停電は比較的早く復旧されたようですが、不便さは経験された方しか分からないと思います。
いずれにしても、災害があった全ての地域で、少しでも早く復旧され、日常が取り戻されることを願っております。
また多くの方々の支援で確実に復旧活動が進んでいくことを信じて、一歩ずつ進んでいきましょう!

volunteerthankyou

五苓散という漢方薬

お盆が明けて、だいぶ涼しくなってきました。
近年は空調機器の普及により夏バテの症状は夏の盛りの時期にみられることが多いです。

しかし、本来「夏バテ」というものは涼しくなり始めたころに夏場の疲れが現れます。

これからの気温差に体が対応しきれなくなり、
倦怠感や胃腸症状、風邪のような症状がみられる場合があるので注意してくださいね。
夏場の漢方処方には、倦怠感や食欲不振にもちいる補中(ほちゅう)(えっ)()(とう)(りっ)君子(くんし)(とう)清暑(せいしょ)(えっ)()(とう)など
がよく知られています。
そして漢方薬としての知名度は高いのに、夏場の使用が普及していないものが五苓散(ごれいさん)です。
 
漢方メーカーの情報をみると五苓散の効能効果には、
「口渇、尿量減少するものの次の諸症:浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、
悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病」となっています。
一見何の共通点もない文字の羅列だと思いますが重要なキーワードが隠されています。

それは「水」が関与しているということです。

漢方医学では、「水」は体内を循環する透明な液体、いわゆる「体液」を示します。
健康な状態ではこの「水」が体中を円滑に巡っているのですが、なんらかの異常をきたすと
滞りや欠乏することがあります。

それが「水」の異常となります。

そして五苓散が対応する疾患は、「水」が滞ったために生じる「水毒」という病態です。
「水毒」は体の中に水溜まりができるイメージです。
 
夏場に水分をたくさん摂取したりクーラー環境下で体が冷えるなどすると、
「水毒」の病態に近づきます。
血流が悪くなるともちろん浮腫みやすくなったり、冷たいものを摂取したことによって胃腸が冷え、
下痢を起こします。
胃腸機能が低下すると水分代謝がうまくいかなくなるので熱中症も起りやすくなったり、
悪循環に陥ります。
そこで、五苓散は体の中の水のめぐりを改善する漢方薬です。
嘔吐や下痢は消化管内の水溜まり、めまいや頭痛も脳血管の浮腫と考えれば、
すべて五苓散の適応疾患ではないでしょうか。
これらより、五苓散は夏場にみられる症状、いわゆる「暑気あたり」に効能効果があるのです。
 
五苓散は実際に熱中症の点滴の効果を高める目的で使われます。
水分代謝がうまくいかない熱中症患者にはもってこいの処方でしょう。
点滴後もなかなか体調が戻らないときに、点滴後3~4日間五苓散を飲むとよいとされています。
 
水分をしっかり摂っているのに調子が悪い場合は試してみてはいかがでしょうか?

natubatemizudoku2

H30.8.7ブログ

原爆投下から73年、豪雨災害から1か月で川尻では朝と昼に放送が流れました。
この酷暑の中、第100回全国高校野球選手権記念大会が甲子園にて行われています。
 
AIによる被ばく者の記録の保管など今後様々な面でAIは普及しそうです。
正直私にはターミネーター時代の到来かと、怖く感じます。
国が企業に独占され、恐ろしい事が起きるのではないかと感じます。
 
少し現実に戻り、希望のある明るい話題について述べたいと思います。
 
サッカーではサンフレッチェが1位を快走しています。野球もカープが独走しています。
アベック優勝に期待がかかります!

安倍首相やジャニーズ系の芸能人が呉に来たりしています。寄付も多くの方がしてくれています。
そんな中でカープのチケットを取るほど難しいものはなく、
ぜひとも被災者用にチケットを用意してほしいと願います。
 
手前勝手な事を書きましたが、大変な被災をされた方々、まだ避難所で生活されている方々が、
少しでも将来の見通しがたち、希望が見えるときが1秒でも早く来ることを願っております。

kamihikouki

H30.7.24ブログ

7月6日深夜大量の雨により、翌日の近隣状況は大きく様変わりしていました。
県内外で広範囲に土砂災害、浸水被害が発生し、川尻町内でも川が反乱し、
一部の家屋で被害が出ました。

それでも被害の大きい他地域よりは、少ない被害で済んだことは幸いでしたが・・・
町内の殆どで現在も断水が続いています。
 
近隣では安浦町の被害が大きく、5日間は駅周辺が浸水しており、復旧に
手を付けられない状況が続きました。
また道路も多くの場所で倒木、土砂、陥落で寸断される状況で物資は届かず、
自衛隊を含む救助、ボランティアの姿も1週間過ぎた頃から増えてきました。
川尻町内も同様ですが、地元の協力で最初は凌ぐしかなかった状況でした。
正直呉市中央で物資が届き、道路が整備されている情報を聞き、
疎外感を受けた方は少なくなかったかと思います。
 
まだまだ復旧活動は続けられ、浸水した家屋は今後の心配が多くあると思われますが、
当法人の状況についてお知らせします。
7日は統括責任者がケアビレッジたつき(安浦施設)に宿直し、
傍を流れる川の状況や近隣の住民が50名ほど避難されていた対応に追われました。
翌8日避難者や1Fグループホームあかねの入居者を2Fへ移動するなどの対応にも追われ
ましたが、幸いにも浸水は免れた状況です。
それから水の確保や道路の寸断で職員の確保が大変でした。
豪雨災害があった時に夜勤をされた方は帰ることもできず、交代も来ず心身ともに疲弊しました。
数名の方が避難場所としてデイサービスすみれを利用され、可能な限り受け入れを続けさせて
いただきました。
 
医院は7日を一応休診としましたが、出勤できた職員数名で来られた患者さんと救急の対応を
させていただきました。
翌週月曜日からも出られる職員でほぼ通常通りの診療を行ってきました。
 
しかしながらデイサービスつばきとすみれでは休業を余儀なくされ、
すみれは16日からつばきは23日からサービスを開始しております。
道路事情やつばきでは断水の影響もあり、通常通りのサービス提供はできていない現実もあります。
 
それでも医院がほぼ通常営業できたのは、地域の知人の協力で何日も何回も受水槽に給水してもらえたから
であり、職員が出勤してくれたからであり、薬局が寸断された道を徒歩で出勤してくれたからできたことです。
本当に多くの方々に助けられ、対応できたことに感謝し、近隣診療所が休診する中で、少しでも地域の方々の
健康管理、怪我や服薬管理の対応ができたことで少しは使命を果たせたかと思います。
 
この数週間で経験したこと、感じたこと、今後への対策は様々で語りつくせませんが、
この場をお借りしてご報告申し上げるとともに、ご支援ご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。
またこの度の豪雨災害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りし、また多数の被害に合われた方々へ
お見舞い並びに早期の回復を願います。
 
まだ道半ばで、これからも復旧活動は続きますが、暑さの中で引き続きご支援ご協力をお願い申し上げます。

yoroshikuonegai

震災での経験を生かして

7月第一週目に西日本豪雨によって受けた被害はとても大きいものでした。
10日ほど経った今でも状況が少し動き出したばかりです。

この豪雨は広島県だけではなく、他の被災地にも大きな爪痕を残しました。
復旧に向けての戦いはまだ始まったばかりですが、
かつての経験を生かして被災者の皆さんの力になるであろう漢方薬を紹介したいと思います。

2011年3月11日に発生した東日本大震災で、帝京大外科准教授 新見正則先生が被災地に届けた漢方薬についてです。
 
気持ちが晴れない人にはまず香蘇散(こうそさん)
 今回の被災によって想像を絶するような大きな精神的ストレスを受けていると思います。
 ストレスに対処する目的で、新見先生はまず最初に香蘇散を処方するそうです。
 香蘇散は香附子(こうぶし)紫蘇(しそ)(よう)陳皮(ちんぴ)生姜(しょうきょう)(かん)(ぞう)の5つの生薬からなっており、
 味も良く飲みやすい漢方薬です。
 服用すると気持ちが晴れるのと、風邪の初期にも対応できる処方です。
 また、香蘇散が無効な方には半夏(はんげ)厚朴(こうぼく)(とう)という漢方薬を用いることもあるようです。
 
経過が長引くときは(さい)(ぼく)(とう)(さい)()加竜骨(かりゅうこつ)牡蛎(ぼれい)(とう)
 漢方では、症状が改善しない場合には、(さい)()黄芩(おうごん)を中心に組み合わせた『(さい)胡剤(こざい)』を併用することが
 あります。
 柴胡剤の中でも最も一般的なものが小胡湯で、
 これと上記で紹介した半夏厚湯を組み合わせたものが柴朴湯という処方になります。
 半夏厚朴湯では思うような効果がなく、長引くストレス症状には柴朴湯が有効となることもあると
 紹介されています。
 柴胡加竜骨牡蛎湯も柴胡剤のひとつで、ストレスに有効です。
 また、冷え症でストレスがある人には、温める生薬である乾姜(かんきょう)の含まれた、柴胡桂枝乾姜(さいこけいしかんきょう)(とう)という
 漢方薬がおすすめです。
 
夏バテの予防に清暑(せいしょ)(えっ)()(とう)
 新見先生はもう一つ、被災地に届けたかった漢方薬があったのですが、震災によるメーカーの工場ライン
 停止によって叶わなかったものがあったようです。それが、補中(ほちゅう)(えっ)()(とう)でした。
 避難所生活を余儀なくされた方々は気力・体力ともに弱っており、また身を粉にして被災地で働かれている
 人への心身のエネルギー補充に役立てたかった処方です。
 東日本の震災は冬場でしたが、この豪雨は夏場です。
 異常気象により今年は猛暑と言われております。
 夏場に対応した補中益気湯の類似処方である清暑益気湯を役立てられたら、
 皆さんの力に少しでも変わるのではないかと思います。

今回の被災では、断水、交通網の混乱などで被災地の復旧は迅速とは言えないものです。
漢方薬を飲んでいる場合ではないとも感じます。
しかし検査がなくても処方がしやすい漢方薬は、少しでも早く、多くの人の心と体のケアをできる
ものでもあると思いますので、このコラムを読まれている方・必要な方に微力ではございますが
役に立てたらと感じ、記載させて頂きます。

ga-bera