漢方薬によるインフルエンザ・風邪治療!

 10月も中旬から急に朝晩が冷えてきましたね。体温調節を適宜行い、風邪の予防をしっかりしていきましょう。

 今回はインフルエンザや風邪の感染を予防・治療する漢方薬を紹介します。

①予防する漢方薬 ~補中益気湯(ほちゅうえっきとう)~

 新型インフルエンザの予防法としては、現在のところインフルエンザワクチンや抗インフルエンザ薬による予防が一般的です。しかし、ワクチンの接種が必ずしもインフルエンザの罹患を予防するわけではないことは皆さんもご存知だと思います。補中益気湯は、免疫力や消化機能を高める漢方薬として知られ、虚弱体質、病後の体力増強、食欲不振や夏痩せなどに広く使用されています。元気をつけたり、免疫力の低下による易感染状態を改善してくれるお薬です。この漢方薬を使うとよい人というのは、毎年インフルエンザや風邪にかかってしまう人や、感染するとリスクが高い人(COPDや喘息のある人など)、受験生などです。

 補中益気湯は風邪やインフルエンザの回復期にみられる倦怠感などにも効果が期待できます。

②治療する漢方薬~麻黄湯(まおうとう)~

 皆さんがよくご存知の、葛根湯(かっこんとう)という漢方薬は風邪の引き初めに飲むお薬です。麻黄湯という漢方薬も使い方は非常によく似ております。ではどういったときに使い分けるのか。それは、インフルエンザのように強い感染性をもつ場合に麻黄湯を用います。麻黄湯は、別名:麻杏桂甘湯(まきょうけいかんとう)といい、葛根湯よりも体を温める作用が強く、構成生薬数も少ないのでとても効き目がシャープに現れます。ですので、わが国でも古くから風邪やインフルエンザなどの急性期疾患に用いられてきました。最近の臨床研究では抗ウイルス薬と同等の抗ウイルス作用、解熱作用があると認められています。麻黄湯は身体の免疫機能を高めてあげる働きをすることによって抗ウイルス作用を発揮するというほかの薬と違った作用を持っています。インフルエンザなどでは関節痛や頭痛、寒気などの症状も強く出ますが、そのような場合に麻黄湯を併用したり、用量を増やしたりなど工夫することが可能です。また構成生薬の杏仁には鎮咳作用もあるので、のどの痛みにも対応しています。

 漢方薬は風邪などの急性期疾患に非常に高い効果を示すので、是非参考にしてみてくださいね。