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春の体調不良に役立つ漢方薬
春は花見を楽しんだり、入学式、入社式、新しい部署に配属されたりなどと、
新しい環境が訪れる季節です。
そしてあと2週間もすればGW休暇がやってきます。
春は楽しいことが沢山ある季節なので、春が好きな方も多いのではないでしょうか。
しかしその反面、疲れが出やすく体調を崩してしまうことも多々あります。
特に今年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、そういう不安感を抱いている人が
多いのではないでしょうか?
通常であれば、4月はウキウキした気分で過ごすことが多い分、
気づかないうちにストレスを溜め込んでしまうことが多いのですが、しかし、
今年は3月からストレスを溜め込む状態に陥りやすくなっています。
今の状況がいつまで続くか分からないので体調の維持に役立つ漢方薬のお話をします。
特に虚証の方は身体がついてゆかず全身倦怠感を訴えられることが多くあります。
漢方薬には“補気”という、元気をつけ、体力を補う作用をもつ薬があります。
その代表例が補中益気湯です。
この漢方薬は胃腸機能低下の改善や、免疫力を高めることから風邪の予防にも使われたりしています。
また、この時期に急にみられるイライラ感・食欲不振の場合にも有効なことがあります。
人参、甘草、蒼朮
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食欲を改善する
(それによって筋力や身体機能低下を回復する)
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人参、黄耆、当帰
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身体全体を元気にする
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柴胡、升麻、黄耆
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気を持ち上げ、活力や緊張を回復する
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似た処方として、十全大補湯、清暑益気湯、人参養栄湯などもあり、以下のように使い分けられています。
・十全大補湯:顔色が悪く、貧血傾向がある場合
・清暑益気湯 :脱水を起こしやすく、夏バテの症状がある場合
・人参養栄湯 :貧血傾向に加えて、不安や咳嗽がある場合
処方名からも、元気をつけるようなイメージがあるなとお分かりいただけると思います。
すこし疲れているなと感じたら、是非、ご相談ください。
R2.4.6ブログ
皆さん、コロナショックを大なり小なりお受けになられていることかと思います。
呉市の学校関係は予定通り再開となりましたが、今後どうなるのか不安な日々、制限は続きます。
そんな中で帯状疱疹が増加しているのではないかとの記事を見ました。
帯状疱疹を湿疹と思われ、しばらく放置される方もいらっしゃいますが、
この病気で最も問題なのは帯状疱疹後神経痛が続き、人によっては生涯残ってしまう方も
いるというところです。
年齢や治療開始時期、適切な治療内容と必要に応じての継続が大切かと思われます。
実は3月に私も帯状疱疹になりました。気付いている方は少ないでしょうが・・・
このブログでばれてしまいますね(笑)
私が強いのか、軽かったのか?左額に髪に隠れるように発疹が出て、
痛痒く最初は季節の変わり目のフケかと思っていましたが、わずかに額にあやしい発疹が出ました。
「ありゃりゃ」と思い、治療を開始、念の為に今も症状抑えの薬を不真面目に飲んでいます。
自分のことになってしまいましたが、皮膚科専門医でない当院にも帯状疱疹の患者さんは来られます。
当院にもこの時期増えているように思います。
基本的には人生で一度と言われていますが、糖尿病など様々な状況によってはまたなる方もおられます。
年齢は減らせないので早期の治療が一番のポイントになるかと思います。
皮ふが痛痒いなどの症状を伴い、おかしいなと思えば早期受診をお勧めします。
この疾患が増えているのはコロナによるストレスが関係しているのかは不明ですが、
1日でも早く、少しでもストレスのない、時間や時期になればと願います。
油断せず、皆さんもご安全にお過ごしください。
漢方薬の飲み方について
今回は漢方薬の飲み方についてご紹介します。
その前に名称についてご紹介します。
漢方薬の名前の最後には、○○湯、○○散、○○丸、○○飲、○○飲子、○○一方などとついています。
尚、語尾に料とついているものは、散剤や丸剤を煎じて湯剤のように抽出したもののことです。
散は元々散剤で粉薬として作られていました。
丸は丸剤です。粉薬を蜂蜜で練って丸剤を作っていました。
飲は冷服することを指示し、子は頻回に服用することを指示するという解釈と音韻の収まりを良くするため
につけたという説があります。
一方は煎じて服用する意味です。
そして最も多い湯はやはり煎じ薬を意味するのですが、煎じてすぐに熱いまま飲むものと
冷ましてから飲むものとあります。
現代の漢方製剤は、湯剤も散剤も丸剤も全て煎じて抽出した同じエキス剤となっています。
さて、飲み方についてですが、基本的にはインスタントコーヒーと同じと考えて下さい。
インスタントコーヒーを粉のまま口に入れて水で流し込むなんてしないと思います。
そう考えれば、お湯に溶いて飲むか、それを冷まして飲むかということになります。
コーヒーと一緒で香りを味わって飲むのです。不思議と体に合っていれば美味しく感じるものです。
まあそれでも苦いものは確かにあります。
呉茱萸や黄連など苦い生薬は苦いですね。
でも多くの漢方薬に入っている甘草は蔗糖の50倍も甘いと言われています。
でも薬は苦いものとして淡々と飲むことも必要かもしれません。
本当に熱いお湯に溶いて飲んでいただきたいのは、風邪の引き始めで悪寒のある時です。
悪寒はこれから熱を出そうと体が準備している状態です。
こうした寒気のある時には熱い方が効果的です。
2000年前の古典にも温服すると書いてあります。
それから冷えがある方もやはり温服すべきです。
逆に冷まして飲む方がいいものは、体を冷やす作用のあるものです。
黄連解毒湯のように出血傾向のあるもの、のぼせの強いもの、体に熱感の強い方は冷服した方がよいでしょう。
また、吐き気のある場合も温服では飲めませんから、悪阻の時の小半夏加茯苓湯や五苓散などは冷服して下さい。
漢方薬とは体の状態に応じた薬です。今貴方がお茶を飲むとします。
熱いお茶が飲みたいのか、それとも冷たいお茶が飲みたいのか。
体の欲するままに飲んでいただければ結構です。
ちなみに中国で「湯」という字はスープの意味があるそうです。
R2.3.10ブログ
世間では新型コロナウイルスに翻弄させられています。
自然や感染症に人類は勝てませんし、勝とうとしてもいけないと思います。
共生共存していかなければなりません。
そのために最も大事なことは、予防でも薬でもないと私は思います。
人類は誕生した時から、滅びず繁栄してきました。
それは文明の力であり、人類の繁殖能力であり、何よりも自然治癒力だと思っています。
しかし今の時代はどうでしょうか!?
文明にばかり頼り、体力を低下させ、先進国では繁殖力も低下しています。
不安なことは沢山あることかと思いますが、どうにもならないことは悩んでも始まりません。
やりたい事が出来なくても、またこの時期を乗り越えれば、出来るようになります。
今は我慢の時ではありますが、それを休息、充電の時期だと捉えプラス思考で皆で乗り越えましょう!
花粉症の漢方薬について
花粉のつらい季節になってきました。
今年、飛散量は少ないと言われていますが、敏感な患者さんは症状が出ています。
漢方薬では何を使うの?と聞かれれば、患者さんの病態(陰陽・虚実)によって使える漢方薬は
いくつもありますが答えです。
花粉症のファーストチョイスは小青竜湯が用いられます。
花粉症の3大症状である、くしゃみ・鼻水・鼻づまり効果が確認されています。
(西洋医学的にも評価されています)
でもこれだけではよくならない方もいらっしゃいます。
そういう時には、陰陽、虚実を考えます。
分り易く言えば、
「陰証」➡冷えが強ければ、ブシや乾姜の入ったもの、
「陽証」➡熱感があれば、石膏や黄連の入ったもの、
「虚証」➡胃腸が弱い方には、麻黄の入ってないものとなります。
つまり、小青竜湯を基本に、
①麻黄附子細辛湯➡「陰証」
冷えが強い、鼻粘膜が白っぽい場合、更に長期に使う場合は桂枝湯などを
加えていったりします。
②大青竜湯 ➡「陽証」
冷えがなく、鼻粘膜は赤く炎症の強い場合(エキス剤では越婢加朮湯と麻黄湯を
合せて飲む)や桂枝二越婢一湯(エキス剤では越婢加朮湯と桂枝湯を合せて
飲む)が適応します。
さらに「虚証」麻黄が胃にもたれるという方は、苓甘姜味辛夏仁湯という漢方薬
があります。
更に慢性鼻炎の病態になってきますと、
葛根湯や葛根湯加川芎辛夷、辛夷清肺湯や排膿散及湯、荊芥連翹湯や柴胡を含む漢方薬も使われたりも
します。
現代病の一つ、花粉症に悩む方は年々増えています。
麻黄の入ったものは即効性がありますし、眠くなるという不快感もありませんので、
ぜひ自分にあった漢方薬を見つけてみて下さい。