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嚥下障害、誤嚥性肺炎に対する漢方

超高齢化社会が叫ばれる中、嚥下障害、誤嚥性肺炎を起こす患者さんは年々増えています。

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食べる楽しみが障害されるということは大変ショックなことと想像に難くないのですが、漢方ではその「食べる」ということを非常に重視しています。それは食べることが元気の「気」の源だと考えているからです。
ですから元々は、「気」という字は「氣」と表わしていたのです。
食べられるようにするには、(りっ)君子(くんし)(とう)補中(ほちゅう)(えっ)()(とう)が有名です。
さて、嚥下障害・誤嚥性肺炎に対する漢方薬は、日本老年医学会診療ガイドライン指針案にも推奨されていた半夏(はんげ)厚朴(こうぼく)(とう)です。
原典ではおよそ2000年前の書籍「金匱(きんき)要略(ようりゃく)」に、「婦人、咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)有るが如く、半夏厚朴湯、(これ)(つかさど)る」とあります。

つまり、咽喉頭異常感症に対する治療薬として昔から使われてきたものです。
また、咽喉が塞がる感じだけでなく、気分が塞ぎ、不安感や憂鬱間のある時や、咳、吐気に対しても有効な薬です。構成生薬は、半夏、茯苓、厚朴、蘇葉、生姜の5つです。生姜、半夏、茯苓の組み合わせは悪阻(つわり)にも使われる小半夏加茯苓(しょうはんげかぶくりょう)(とう)そのものです。また小柴(しょうさい)()(とう)を合せた(さい)(ぼく)(とう)は喘息にも有用です。
他に嚥下反射を改善する薬としては、ACE阻害薬、ドパミン作動薬(アマンタジン)、抗血小板薬(シロスタゾール)などがあります。
しかしそれだけでは良くならない方もいらっしゃいます。
胃食道逆流が原因の場合には、半夏厚朴湯に茯苓飲(ぶくりょういん)を合せた茯苓飲合半(ぶくりょういんごうはん)()厚朴(こうぼく)(とう)や、半夏厚朴湯に(りっ)君子(くんし)(とう)を併用する必要があります。また腸管ガスが充満し、便秘も酷く、食物が下に輸送されず逆流が起きる場合は大建中(だいけんちゅう)(とう)の併用が必要です。
実際、誤嚥性肺炎の患者さんの胸部単純X線写真を見ますと、ほとんどのケースで横隔膜下に異常ガス像を伴っています。
更に誤嚥性肺炎を繰り返し、高熱の出る場合には、抗菌薬とともに(せい)(はい)(とう)も良く用いられる漢方薬です。

ところで、そもそも嚥下反射が低下した患者さんに漢方薬を飲ませる時どうすればいいかという問題があります。
ゼリー、ヨーグルト、ペースト食に混ぜる、お湯に溶いた後、トロミ剤を混ぜる、その他患者さんが口にできるものに混ぜるなどといった工夫が必要です。
尚、このような場合は、当然ながら、食前または食間といった指示にはこだわることはありません。
 
寝たきりで経管栄養から離脱し、最期まで食を楽しみ、人間らしく生きたいものです。

「広島」

広島、原爆投下から70年が経過しました。すなわち終戦から70年が経ちます。
 
広島の子供たちはほとんど原爆資料館を一度は見学に行っていると思います。
子供ながらに原爆の怖さ、悲惨な状況に衝撃を受けた記憶があります。
そしてそれから私は資料館に行った記憶がありません・・・ 
大きくなって学生時代に酔いさましに平和公園を散歩したり、最近では時にセミナーなど国際会議場に足を運ぶことがありますが、資料館にはどうも足が進みません。
 
今年は7月から原爆や戦争のことがメディアに多く取り上げられたように思います。
 
平和公園の式典準備でテントも早くから準備されていたように思います。
※私の勝手な思い込みでしょうが・・・
これも70年という節目だからなのでしょうか? 
安倍総理大臣が来られていましたが本心来たくないのだろうと思います。 
しかし一国を担う立場であり、逃げることをしなかった面においては立派だったと感じます。 

人間界には多くのしがらみや権力、利得争いがあって当然でこれが戦争につながるのだと思います。 
70年は長いようですが、人類の歴史からするととても短い歴史だと思います。

歴史を振り返れば日本国内でも戦争を繰り返してきました。世界を見ても同様に戦争は周期的に行われていると言っても過言ではないと思います。

一歩でも一秒でも戦争に近付くことは避けなければなりません。 
そして人類が平和で核の無い時代が来ることを願っております。

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痛みに対する漢方薬

先日7月12日(日)のNHKスペシャルで、「腰痛・治療革命」と題して放映していました。
ご覧になられた方も多いのではないでしょうか?
内容は、痛みの原因は脳にあり、痛みに対する不安や恐怖を取り除けば症状が改善する方もいるといったものでした。

痛みに対する専門家はペインクリニックと呼ばれ、主に麻酔科に所属する先生方が担っていますが、一般には町のお医者さんとしては少ないのが現状です。
腰が痛い、肩が痛いといって皆さんが受診されるのは整形外科が多いのではないでしょうか?
例えば階段から落ちて腰を打ったという痛みがあります。骨折していなければ、湿布、さらに鎮痛薬が処方されて安静の指示が出てそれでおおよその診療は終わりです。それで普通、痛みは消えていくのですが、数週間たっても痛みが消えずお困りの方もいらっしゃいます。
そこで漢方の出番なのですが、そんな痛みに漢方が効くの?と思われるかもしれませんが、歴史を振り返ってみますと、江戸時代、世界で最初に乳癌のオペに成功した華岡(はなおか)(せい)(しゅう)が麻酔薬として使ったのは、実は「通仙散(つうせんさん)」という漢方薬なのです。さて打撲の初期は痛く腫れて熱を持ちますがそれがだんだん冷えていきます。お風呂に入ると痛みが楽になる。そういう方はまさに漢方薬が適応します。冷えて痛む時は、附子剤(ぶしざい)の出番です。附子(ぶし)という生薬は、生薬の中でも最も温める作用が強く、鎮痛作用を持った生薬です。打った、捻ったという痛みが長引いた時、具体的には、()打撲(だぼく)一方(いっぽう)と附子末、あるいは治打撲一方と桂枝加朮附(けいしかじゅつぶ)(とう)という組み合わせがよく効きます。西洋医学では冷えに対する対処法がありませんが、漢方では冷えを改善する手段があります。ですから冷えのある痛みに対しては漢方の方が優れているのです。
腰下肢痛の場合、いわゆる、ぎっくり腰なら芍薬甘(しゃくやくかん)(ぞう)(とう)桂枝茯苓(けいしぶくりょう)(がん)、あるいは、治打撲一方と()(けい)(かっ)(けつ)(とう)の組み合わせ。高齢者なら八味地(はちみじ)黄丸(おうがん)と桂枝茯苓丸、少し浮腫がみられれば牛車(ごしゃ)(じん)()(がん)と桂枝茯苓丸の組み合わせが有効です。
帯状疱疹後神経痛では麻黄附(まおうぶ)子細(しさい)(しん)(とう)などが効きますが、じっとしていれば痛みはないが、少し触れただけ、風が吹いただけでも痛みを感じるアロディニアという状態に対して、神経周囲組織が炎症後に乾いた状態になっていると考え、そこを潤してやろうという漢方薬、六味(ろくみ)(がん)麦門(ばくもん)(どう)(とう)の組み合わせが不思議なほど効果的です。
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七夕に思う…

各施設に竹があり、短冊が結ばれています。
少し読んでみましたが、いつまでも元気で・・・などが多かったように思います。 

人には出会いと別れがあり、最も重大な出会いはこの世に生を受けた時の誕生、親や世間との出会いなのかと思います。
逆に別れのクライマックスは死、家族や世間との別れとなります。 
職業柄沢山の別れを経験してきましたが、色々なことを教えていただきました。
本当にまねのできない最後を迎えられた方も少なくなかったですし、
本当にまねのできない献身的な家族も沢山見てきました。

 
七夕様は恋愛物語ではありますが、色々な意味深い気持ちが込められているのかと感じてしまいます。
 
人は悪い所ばかりでもなければ、良い所ばかりでもありません。
良い所に導かれ、悪い所に反発し生きて行くのだと思います。 
人生とは様々な出会いと別れ、様々な相性があり、社会を生きて行くのだということをこの年になって感じさせられます。
 
七夕様は年に一度しか会えないのにそれで満足だったのでしょうか?
会ってない時は何をしていたのでしょうか? 
バカなことを考えてしまいましたが・・・皆さん人に恨まれないように、人に愛されるように、大切なものを失わないように、その時その時を大事に過ごしてください。
日々全力疾走しているので少し現実逃避してしまいましたかね!?
ロマンチックでもなく本当に理事長の自由帳でした。
tanabatablog.fw

								

すごい!

以下のような報告が施設管理者からありました。
当施設に限らず法人内外でこのような出来事が増加することを望みます。そのためには医療介護現場の充実が不可欠と感じます。
行政には削減、削減ばかりで実の伴わない政策ばかりでなく、人に優しい、心のケア充実を考えていただきたいと思います。
読んでいただいた方の心が温まれば幸いです。

『すごい!』と感じたエピソード
 
折り紙を折ることすらも断ることが多かった、消極的な老人がある日、「このまま天井ばかり見ていても仕方が無い。皆の所に出て食事がしたい。」と介護職員に伝えました。 
ここに至るまでは、日々、介護職員たちが身の回りの世話をし、看護職員たちが健康管理と精神的なケアを行い、OTが時間を作りながらかかわりを持ち続けていました。 
実はこの介護職員は、最近、業務やスタッフとの人間関係、このままこの施設で仕事を続けられるか悩んでいました。
「皆の所に出て食事がしたい。」という言葉に反応したのは、看護師でした。朝の申し送りの時に管理者から、「部屋から出て食事をしたいと言われていたがどうなりましたか?」との質問に目がきらりと輝きました。看護師はその介護職員に詳しく状況を確認し、懇切丁寧に指導を行いました。
“そのような時はどうすればよいのか?”“その言葉は君だから言ったのか?”“そういう言葉が出たのはなぜなのか?”などを正に現場で、実例を通し情熱的に話をしていました。 
そこに、日頃かかわっていたOTとOTの実習生が現れた時、看護師が、その介護職員からOTに説明をさせました。OTたちは「オー。すごいですね。」と感動の声を挙げました。
ここでまた看護師が「その人から、あの言葉を聞いたのは君だけだ。言葉だけかもしれないが、その言葉が出たということはすごいことなんだ。その証拠に皆感動しているだろ。これをどう次に繋げていくのかが大切になる。皆でアプローチして行こう。」と話していました。 
この出来事は、悩んでいた介護職員に自信を取り戻させ、OTの実習生に貴重な体験を与え、関わった看護職員、介護職員に介護の喜びと感動、ケアの醍醐味を実感させてくれました。 
ついつい見逃してしまいそうな一つのエピソードがこんなにも発展し、利用者をはじめ、多くの人に感動を与えてくれました。 
実際の現場では、『あれがダメ。』『これが出来てない。』『あの人がどうだ。』『あの人がこう言った。』などマイナス的な言葉があふれている現状の中、しっかりとアンテナを張り、沢山の上記のようなエピソードが日々繰り広げられ、感動に満ちている施設は最高ではないかと思いました。

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