ほてり、のぼせに使う漢方薬!

 一般に女性は冷え症の方が多いですが、更年期(正常閉経は43~54才)になるとのぼせるという方もいます。更年期でなくても、生まれつき足が焼ける、ひどい時は冷蔵庫に足を入れたいというほどほてって困るという方もいます。また、最近では男性更年期でのぼせ、ほてりを訴える方も増えています。

 のぼせ、ほてりを訴える方が附子などの入っている薬を間違って飲まれたら、ほてり感はますますひどくなって副反応をおこしてしまいます。こういう方は「陽証」「熱証」なので、熱をとる、冷やしてあげる薬が必要となってきます。その代表は石膏(せっこう)や黄連(おうれん)という生薬です。

 連は植物ですが、石膏とは硫酸カルシウムの二水和物塩の結晶で生薬の中では数少ない鉱物のひとつです。骨折時に使われるギブスやセメント、チョークの原料も石膏の仲間です。それを薬として炎症をとる、冷やす薬として生薬にした古代の人の知恵は正に恐るべしです。黄連を含む漢方薬の代表は黄連解毒湯や三黄瀉心湯です。黄連解毒湯は苦味健胃薬でもありますがほてり・のぼせのある方にはこの苦味が気にならないようです。証があっていれば味も合うという不思議な関係もあるのです。まず飲んでみて続けて飲めるかどうかは薬の効果にも関係してきます。また、長風呂が苦手とか冬でも冷たいものを好んで飲む、食べる方などは冷やす薬を使います。

 一方、石膏を含む薬の代表には越婢加朮湯、麻杏甘石湯、白虎加人参湯などがあります。

 色々な種類の薬があります。きっと貴方に合うものがあるはずです。

R5.2.11ブログ

今年から再出発したブログですが、「たつき会の地域包括ケアシステム」として発信しております。

今回は今年の8つの目標の中の一つである「地域包括ケアシステムの発展」を深堀りしたいと思います。 

繰り返しになりますが、地域包括ケアシステムとは住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが出来るように、地域で医療・介護・住まいなどを一体的に提供するシステムのことです。

医療や介護を受けることから、医療・介護分野から発信された言葉であるため、医療や介護に携わる方々は医療と介護を中心に考えられることが通例です。

しかしながら私はこの言葉が使われ始めた当初から「生活」に着目していました。地域の方々に「生活」無くして医療も介護もありません。それは当然のことと思われますが、医療や介護分野で働く方々にも、当然「生活」があってこそ仕事が出来ます。

さらに医療や介護事業所は職員が従事しているから成り立つのは当然ながら、医療や介護に必要な医薬品や生活必需品が手に入らなければ日々の運営は成り立ちません。

例えば入居施設で散髪をしたくても施設へ訪問してくれる理容業の方が居なければ素人が対応するしかありませんし、オムツや食料品が調達できなければ冷凍やレトルトなどの食品になります。介護サービスには送迎もありますので給油所や車の整備工場も地域に無いと困ります。職員に子供がいれば学校・教育に関わる場所も必要です。

結局「生活」に必要なものが地域に無ければ不自由で自分らしい最後は迎えられないと言うことです。

なので私は地域の他職種がつながるために様々な取り組みを開始したのですが、軌道に乗り始めたと思ったところで、コロナ禍に突入し頓挫してしまいました。様々な方法はあったのですが、コロナ対応に追われ、結果何もできず3年が経過しました。

そこでこのたび地域包括ケアシステム構築のために、法人内で担当職員を任命し再始動しております。現在地域の方々と打ち合わせをしながら方向性を定め、実際に「けん玉教室」などで地域に出向き活動をしてくれています。知っている人は知っているかと思います。

しかしながらこうした活動は容易なものではありません。右往左往することもあるでしょう。

ただ地域包括ケアシステム、地域のつながりが大事だということはご理解いただけるものと思います。

少しでも早く、少しでも良いものにするためには一人ひとりの協力と参加が必要となりますので、会合などを企画した際は是非ともご支援、ご参加お願いします。

しもやけに効果の期待できる漢方薬!!

 まだまだ寒い日が続いていますが、最近は冬の季節ならではの『しもやけ』でお困りの患者さんが多く見受けられます。来院されずとも、毎年しもやけによる痛みや痒みで困っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特に女性は家事で水に触れる機会が多くなるので、ハンドクリームを塗ってもあまり意味がないと感じられているのではないでしょうか…?

 そんな辛い悩みの解決が期待できる漢方薬ご存じですか?しもやけの辛い悩みを今年で最後にしませんか?次の漢方薬を使うと、その悩みが解消されるかもしれません!

 そんな魔法のような漢方薬は

当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)   

 といいます。

 呪文のようなとても長い名前です。恐らく医療用の漢方製剤の中でも一番長い名前ではないでしょうか。この漢方薬は、『四肢末梢の冷えが強く体調を崩しやすい方で、不定の疼痛を訴える場合に良い』、いわゆる『冷え症』に用います。

★ポイント:西洋医学では ‘冷え性(自覚症状や体質を指す)’として治療対象としないことが多いのですが、漢方医学では ‘冷え症(ひとつの病気)’として重視します。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

は10個の生薬から構成されますが、主な役割は次のとおりです。

桂皮(けいひ)、呉茱萸(ごしゅゆ)、 細辛 (さいしん) 温め、温かさを全身に巡らせる。
芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき) 血行を良くして末梢の冷えを改善する。

 桂枝湯(けいしとう)という上手に身体を温めることができない虚弱な方にも対応できる漢方薬がベースになっています。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) は、

 ① 服用後、30分くらいで手足が温まる

 ② 予防的に使えば次の年にしもやけが見られないといったようなデータもあるので、お困りの患者さんは是非、ご相談ください。

R5.1.11ブログ

新年を迎え今年新たな目標を少しでも実現していくために、個人的な記事ではなく、地域や市民の方々にお役に立てる情報発信や当法人の取り組みを紹介することで安心をお届けできるよう、目的を持った内容で「たつき会と地域包括ケアシステム」としてお送りしたいと思います。

このたびは今年の目標について具体的にどのように取り組んでいくかなどお伝えしたいと思います。

①コロナ禍で永続できる感染対策作り

 →これまで当法人で様々に取り組んできた対策の中で効果的であったことを具体的にお伝えしていく

②法人内のコミュニケーション向上

 →コロナ禍で職員間のコミュニケーションが不足しがちの中、どんなコミュニケーション方法が可能になったかをお伝えしていく

③法人内外システムの充実

 →これまで法人内で取り組み効果的であったことは勿論、今後地域との連携を行うために取り組むことをお伝えしていく

④地域奉仕活動の充実

 →コロナ禍でも様々な活動が行われるようになってきた現在、感染対策を行いつつどう地域活動に参加していくかをお伝えしていく

⑤安心して働ける職場創り

 →法制度を利用しながら、介護や子育てと仕事を両立でき安心して働ける職場環境を整える取り組みを具体的にお伝えする

⑥利用者が楽しく生活できる取り組み

 →当法人が取り組むDCT(夢をかなえる)活動を具体的にお知らせする

⑦BCP(事業継続計画)の充実

 →災害に備え当法人が準備した内容を具体的にお伝えし、地域に少しでも安心を提供する

⑧地域包括ケアシステムの発展

 →これまで「樹立の会」や「川安の集い」など行ってきたが、コロナ禍でストップしたままになっている。上記の目標を実行することも発展につながり、さらには多職種で地域を守ることが本来の地域包括ケアシステムであるということを一人でも多くの方に理解していただき、協力を得ていけるよう情報の発信をおこなう

地域の状況が軽傷であれば費用が安く簡単に治りますが、重症となれば費用がかさみ難治で、最悪滅びてしまいます。

私は10年以上前からそうした危機感を持って取り組んできましたが、危機感のない方が多いのが実情かと思いますし、他人ごとになっている方も多いと感じます。

何が危機なのかも含め、ブログでお伝えすることで理解して下さる方が増え、協力団結して行けることを夢見て取り組もうと思います。

本年もどうぞよろしくお願いします。

身体を温める生薬、附子(ぶし)と乾姜(かんきょう)について

西洋医学では冷えに対して確立した治療法はありません。せいぜい下肢末梢の知覚障害、血行障害、運動障害がないことをチェックするくらいです。大半の場合は(特に若い女性では)、西洋医学的治療の対象を見出せず、漢方の助けを借りることが多くなります。

漢方医学的な病態(証)の基本的な分類は『陰証』と『陽証』です。陰証は生体の反応力が低下した病態で、体温産生も不十分なため“冷え性”になりがちです。漢方医学的には冷えを『寒』といいます。

さて実際の冷え症状は、全身型、上熱下寒型、末梢循環不全型と大きく三つに分類して治療方針を考えます。「全身型」は、全身的に寒が支配する真性の寒で、陰証の冷えです。治療は服用することで生体を温める熱薬(附子や乾姜など)を含む方剤を用います。

附子はトリカブトの根を減毒処理したもので、バーナーで燃やすように強く体を温める作用や鎮痛作用があります。乾姜はショウガを蒸して乾燥させたもので体の中(裏)から温め、元気をつける(補気)作用が強いものです。この二大熱薬である乾姜と附子に甘草を加えた方剤を四逆湯といい、温める漢方薬の基本骨格となっています。尚、四逆湯はエキスにはありません。名前が似ていますが四逆散(ツムラ35)は全く別の薬なので注意が必要ですね。

漢方薬のおいしい飲み方 ~子ども編~

『良薬は口に苦し』

漢方薬ほどこの言葉が似合う薬はないと思います。とはいっても、そんな理由で子どもが苦くておいしくない薬を飲んでくれるか?といえば、それは難しいことでしょう。しかし、美味しく飲む方法が実はあるんです!

今回はその飲ませ方の工夫を紹介します。

まずは薬に対して子どもがどのような反応をするか、年代別に知っておきましょう。

乳児期(0~1歳) 比較的飲ませやすい
幼児期(2~5歳) 薬に敏感で、しばしば服薬拒否
学童期(6歳以降) 漢方の必要性を理解すれば比較的飲ませやすい

漢方を飲ませるのが難しい年代は幼児期です。この間に苦い漢方薬に慣れていくと、もしかしたら食べ物の好き嫌いがない子どもに育っていくかもしれないですね。

では、肝心の『漢方の飲ませ方』について見ていきたいと思います。

①甘い漢方薬を飲ませてみる

 漢方薬に苦手意識がある子どもには甘い漢方薬から飲ませてみましょう。

 比較的飲みやすい漢方薬は、建中(けんちゅう)湯類(とうるい)(黄耆建中湯(おう ぎけんちゅうとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう))、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、麻黄湯(まおうとう)、六君子湯(りっくんしとう)、桔梗湯(ききょうとう)があります。

②味付けをしてみる

 1回分の漢方薬を適量のお湯に溶かして溶液を作ります。そして砂糖やココア、麦芽飲料、ハチミツ、アイスクリーム、ヨーグルトなどに混ぜて下さい。ただ、ハチミツにはボツリヌス菌が含まれている可能性があるので、乳児には与えないように。ココアや抹茶コーヒーなど少し苦めの味のものと混ぜ合わせると、味と香りが相殺されて飲みやすくなったりします。アイスクリームやヨーグルトなどの冷たいものは味覚を鈍くさせて苦みをわかりにくくする効果があります。しかし、胃腸が弱っていたり、風邪の引き始めで悪寒がしている時などには温かいものに溶かして飲ませたほうが効果も増強します。

いかがでしたか?

是非試して、子どもが笑顔いっぱいで飲めるようになってもらいたいですね。

漢方薬の飲み方の工夫! ~高齢者編~

 今回は漢方の飲み方の工夫(高齢者編)についてお話します。

 まず、なぜ漢方薬が高齢者の方によいと言われているか、ご存知ですか?

 それは年齢を重ねるにつれて身体機能の低下や病気の長期化など、同時に複数の病を患う状態になることが多くなるからです。複数の病を治すためにはいくつもの診療科に通って、何種類もの薬を内服することになる…。

 漢方薬には様々な心身の変化や不調、病気に対して細かく対応できる処方が沢山あります。漢方薬は高齢者の方のこういった悩みを解決できる、とても有用な薬なのです。

 しかし、いくら有用な薬だといっても、飲みたくない・・では意味が無いですよね。高齢者の方の中には、食事の際にむせてしまう方や入れ歯を装着している方など、漢方薬を飲みたくても飲めないあるいは飲みにくい場合があります。

 その場合の対処法についても紹介したいと思います。

 ①お湯に溶かす、味付けをする

 こちらは、前回紹介した子どもへの飲ませ方とほとんど同様です。ほかの方法を挙げるとするならば、お粥や味噌汁に混ぜてみると良いでしょう。

 ②嚥下困難(食事でむせてしまう)の方には

 嚥下困難の方には、原則、汁物にとろみをつけて固めます。とろみは最初スプーン1~2杯から開始し、最大7~8杯まで加えます。スプーン7~8杯のとろみを加えると、汁物もほとんどゼリー状に固まってきます。お粥などでも嚥下が困難な場合は必要に応じてとろみをつけると良いでしょう。とろみ以外では、ゼリー状のオブラートにエキス顆粒を包んで内服させる方法もあります。現在は、チョコレート味、イチゴ味など色々な味がついているものまであります。

 ③入れ歯を装着している方には

 漢方服用の際に入れ歯を外すという方法もありますが、手間な時もありますよね。そういった場合には、お湯にエキス顆粒を溶かすという方法がよく使われています。他には、オブラートを用いると良いでしょう。オブラートにエキス剤を入れて水を入ったコップに入れ2~3秒待つとゼリー状になり飲みやすくなります。ぜひ、お試しくださいね。

秋ばてと漢方

秋ばてという言葉が最近よく聞きますが、これは本来、夏ばてと言われていたものなのですが、最近の温暖化の影響でしょうか。

季節が1ヶ月ずれてきたように感じます。

夏ばては本来、夏を過ぎて9月の中旬ほどになり、すごしやすくなってから、手足や身体が重だるかったり、気力がない、食欲がないといった症状を呈するものを言いましたが、最近では夏の盛りの頃、食欲がなく、身体がだるく、何もする気が起こらないといった状態を指すようになりました。

それだけ猛暑の影響もあるのでしょう。

盛夏の夏ばてには、その名の通り、暑さを冷まし元気を出させてくれる清暑益気湯(せいしょえっきとう)が役に立ちましたが、日中の暑さに比べて、朝夕寒気を感じるようになってきたこの時期からは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の出番です。

補中益気湯は別名、医王湯とも呼ばれ、消化機能を補い元気を益す薬という意味で名付けられた薬です。

これらは補剤と呼ばれ、西洋薬にはないタイプの薬です。

元気が出る意味を医学的に解説するのは難しいですが、補中益気湯の作用としては、筋トーヌス(緊張)の低下を改善する。

下垂傾向にある臓器を支え回復させる。

食欲の改善、消化機能の改善、疲労感の改善、免疫力(自然治癒力)の改善などが主な作用と言われています。

これから一段と寒くなるにつれ、風邪も流行ってきます。誰しも不摂生が続くと風邪をひいてしまいます。

そんな時に役に立つのも補剤です。

コロナの影響で皆さんもマスクを常時、着用しているのでここ2年間はインフルエンザも流行っていません。予防にはコロナ感染症同様にワクチンがありますが、ワクチンも万能ではありません。

それは、毎年、次年度流行しそうなウィルス株を想定して、ワクチンを作っているからです。数年前、新型インフルエンザが話題になりましたが、ウィルスも一定ではないのです。

つまりワクチンは、インフルエンザの予防に有用ですが、ワクチン株と種類が異なれば、効かないこともあるのです。

補中益気湯を服用しておくとインフルエンザに罹患する率が大幅に下がるという研究もあります。

熱帯夜はどうしても寝不足になります。涼しくなってくると、目覚め時の布団が気持ち良くてもっと寝ていたくなりますね。

補中益気湯で秋ばてを克服し、この冬の風邪、インフルエンザを予防するためにも、夜更かしなどの不摂生を慎みましょう。

また食欲の秋です。日頃から食を楽しみ、体を動かし体力をつけておくことが最も有効な風邪、インフルエンザの予防となります。

何かお困りのことがあればぜひ、ご相談下さい。

五苓散(ごれいさん)について

お盆が明けて、少し涼しくなってきましたが、
まだもう少し暑い日が続きそうです。

近年はエアコンの普及により夏バテの症状は夏の盛りの時期にみられることが多いです。
しかし、本来「夏バテ」というものは涼しくなり始めたころに夏場の疲れが出てきます。

これからの気温差に体が対応しきれなくなり、
倦怠感や胃腸症状、風邪のような症状がみられる場合があるので注意してくださいね。


夏場の漢方処方には、倦怠感や食欲不振にもちいる漢方薬は多くありますが、
漢方薬としての知名度は高いのに、夏場の使用が普及していないものが五苓散(ごれいさん)です。

五苓散の効能効果には、
「口渇、尿量減少するものの次の諸症:浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、
  下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病」となっています。

一見何の共通点もないと思われるかもしれませんが、重要なキーワードが隠されています。


それは「水」が関与しているということです。

漢方医学では、「水」は体内を循環する透明な液体、いわゆる「体液」を示します。

健康な状態ではこの「水」が体中を円滑に巡っているのですが、
なんらかの異常をきたすと滞りや欠乏することがあります。
それが「水」の異常となります。

そして五苓散が対応する疾患は、「水」が滞ったために生じる「水毒」という病態です。
「水毒」は体の中に水溜まりができるイメージです。
 
夏場に水分をたくさん摂取しクーラー環境下で体が冷えるなどすると、
「水毒」の病態に近づきます。

血流が悪くなるともちろん浮腫みやすくなったり、冷たいものを摂取したことによって胃腸が冷え、
下痢を起こします。

胃腸機能が低下すると水分代謝がうまくいかなくなるので熱中症も起りやすくなったり、
悪循環に陥ります。

そこで、五苓散は体の中の水のめぐりを改善する漢方薬です。

嘔吐や下痢は消化管内の水溜まり、めまいや頭痛も脳血管の浮腫と考えれば、
すべて五苓散の適応疾患ではないでしょうか。

これらより、五苓散は夏場にみられる症状、いわゆる「暑気あたり」に効能効果があるのです。

五苓散は実際に熱中症の点滴の効果を高める目的で使われます。

水分代謝がうまくいかない熱中症患者にはもってこいの処方でしょう。

点滴後もなかなか体調が戻らないときに、点滴後3~4日間五苓散を飲むとよいとされています。


水分をしっかり摂っているのに調子が悪い場合は試してみてはいかがでしょうか?

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夏バテの漢方!!

梅雨明けして暑い日が続いていましたが、先週から梅雨が戻ったような天気ですね!

今年の夏は猛暑という予想もでています。

体調がすぐれずだるい、食欲がない、胃腸の調子が悪い、下痢をする、
体重が落ちる、頭が痛い、めまいがする・・・。
など夏バテのこんな症状、病気ではないけれど結構、つらいものです。
 
原因として、食欲減退による栄養不足、冷たい飲み物のとりすぎによる消化機能の低下、
暑さによる睡眠不足、冷房のあたりすぎによる体温の調整不良、
発汗によるミネラル・ビタミンの消耗などによって
体力が著しく消耗されたことが考えられます。

とくに暑い室外と冷房で冷えた室内を行き来することで自律神経のバランスが崩れ、
体温調節機能が低下し、だるさや頭痛、めまいや手足の冷えなどが起こりやすくなります。
 
今回は夏バテによく使われる漢方薬について紹介します。

最もよく使われるのは清暑益気湯という漢方薬です。

字のごとく暑さをとってやって元気をつけるという意味で作られた漢方薬です。

似た処方に補中益気湯という処方がありますが、
清暑益気湯は補中益気湯の夏バージョンと言っていいと思います。

補中益気湯は主に食欲不振、倦怠感に使われますが、
清暑益気湯にはプラスして脱水を防ぐ生薬や体を冷やす生薬が入っています。

倦怠感・食欲不振にプラスして汗をかきすぎて熱感を訴える場合など効果が期待できます。

他にも六君子湯という漢方薬もあります。

この薬は主に上腹部愁訴を良くしてあげます。

特に食欲不振(食べれるけど量が摂れない)によく使われます。

以下にポイントをまとめます。
①   清暑益気湯 ➡ 体がだるく食欲もなく下痢があり夏やせする場合   
                   この薬は体を冷やし、脱水を防ぐ役割のある薬です!
 
②   補中益気湯 ➡ 胃腸の働きが低下し体力が著しく落ち、寝汗がある場合
             とくに手足のだるさがひどい場合にピッタリです!
 
③   六君子湯   ➡ 食欲がなく、胃腸が弱く、手足の冷えがある場合
              とくに食べたくても食べれない場合 
 
夏バテの患者さんにも症状に応じて使える漢方薬は多くあります。
お困りの患者さんはぜひご相談下さい!!

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