秋ばてという言葉が最近聞かれるようになりました。
本来、夏ばてと言われていたものなのですが、最近の温暖化の影響でしょうか。
季節が1ヶ月ずれてきたように感じます。
夏ばては、夏を過ぎて9月の中旬ほどになり、すごしやすくなってから、
手足や身体が重だるかったり、気力がない、食欲がないといった症状を呈するものを言いましたが、
最近では夏の盛りの頃、食欲がなく、身体がだるく、何もする気が起こらないといった状態を
指すようになりました。
それだけ猛暑の影響もあるのでしょう。
35℃を超える日(猛暑日)もありますよね!
盛夏の夏ばてには、その名の通り、暑さを冷まし元気を出させてくれる
清暑益気湯が役に立ちましたが、
日中の暑さに比べて、朝夕寒気を感じるようになってきたこの時期からは
補中益気湯の出番です。
補中益気湯は別名、医王湯とも呼ばれ、消化機能を補い元気を益す薬という意味で
名付けられた薬です。
これらの補剤は洋薬にはないタイプの薬です。
元気が出る意味を医学的に解説するのは難しいですが、
補中益気湯の作用としては、筋トーヌス(緊張)の低下を改善する。
下垂傾向にある臓器を支え回復させる。
食欲の改善、消化機能の改善、疲労感の改善、免疫力(自然治癒力)の改善などが
主な作用と言われています。
実際に不妊男性の運動能の低下した精子を改善したり、
解熱剤では下がらないストレスによる発熱を解熱したりすることも知られています。
これから一段と寒くなるにつれ、風邪も流行ってきます。
誰しも不摂生が続くと風邪をひいてしまいます。
そんな時に役に立つのも補剤です。
インフルエンザの予防にワクチンがありますが、ワクチンも万能ではありません。
リスクの高い方には補中益気湯を飲ませておくと
インフルエンザに罹患する率が大幅に下がるという研究もあります。
熱帯夜はどうしても寝不足になります。
涼しくなってくると、目覚め時の布団が気持ち良くてもっと寝ていたくなりますね。
補中益気湯で秋ばてを克服し、この冬の風邪を予防するためにも、
夜更かしなどの不摂生を慎み、また食欲の秋です。
日頃から食を楽しみ、体を動かし体力をつけておくことが最も有効な風邪の予防となります。